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ヴァロス公爵家の没落

 

子爵家長男ロックフォローとの深夜の話の三日後。


 王城の謁見室にはヴァロス公爵家とトロイオンス侯爵家が国王陛下の前で頭を下げ並んでいる。


 国王の台座のその隣の少し高い段に王妃様とハワード王太子様がいる。

 また真ん中のヴァロス公爵家とトロイオンス侯爵家を囲むように周りにはたくさんの貴族達がいた。

 ヴァロス公爵家夫妻に娘のソフィア嬢は少し不貞腐れ気味な態度をとっている。

 対して理解の追いつかないトロイオンス侯爵家は不穏な空気を感じつつ国王陛下の言葉を待っている。


 国王陛下は静かにけれども威厳ある一声を発した。

「面をあげよ。此度の集まりは王太子ハワードの婚約白紙をヴァロス公爵家の責に於いて行う事とするものである。何か申し開きはあるか?」


 国王陛下の発言を理解すると顔を真っ赤にしてワナワナ震える声でヴァロス公爵が口を開いた。

「陛下、何を、血迷われましたか?我が公爵家の責とは?我が公爵家のこの国への貢献は如何ばかりか陛下が一番ご存じではありませんか!」


「ほう?貢献と申すか・・・確かに先代までの公爵家の厚情はいかばかりだったか。現ヴァロス公爵家は娘のソフィア嬢を王太子妃にしようと四年前のジュリアン嬢の認定式にて魔力暴走を起こすべく神官を買収したようだが?一歩間違えれば死んでいたというのに。それが公爵家のすることか!あさましい!」


「な、何を。証拠を!証拠を出してくだされ!」


 隣で聞いていたトロイオンス侯爵家は真実に心底驚きヴァロス公爵家に冷たい視線を向けた。


 その時、奥の扉から例の神官が憔悴しきった様子で入ってきた。その後を子爵家長男のロックフォローがやはり俯き慄いた顔で入ってきた。


 ハワード王太子の隣には大量の資料がトロイオンス家長男のウィリアムと乳兄弟のトムスが運びこんでいる。二人は王太子の側近として・・・また可愛い妹のジュリアンにしたヴァロス公爵家が許せずに内々で動いていた。もちろん敵を騙すには味方からとトロイオンス侯爵家の皆には内緒だ。

ハワードはうちの数枚を陛下に手渡す。


 他の貴族達はこれからの推移に誰も口を開けることが出来ない。王国一の勢力のヴァロス公爵家の不穏な様子を見るばかりである。


 神官の顔を見たヴァロス公爵は

「この者は知らん!何をもって証人とするのか!」

 またロックフォローを見たソフィア嬢は「こんな子爵家の者に何の価値があると言うの?訊くだけ無駄ではなくて!」

 どちらも酷い言い分だ。

 それから先の扉からズラズラと学術院のソフィア嬢から酷い扱いを受けた者たちが入ってきた。

 みんな覚悟を持ってこの場に挑んでいる。


 そして王太子から渡された資料を読みながら陛下は深い溜息をついた。

「ヴァロス公爵、其方はいつからこのような愚かな者に成り下がったのだ。辞めた神官の口封じのために刺客を送り多くのものを雇い入れた。またその者の口を封じ…その繰り返しの中で封じきれない者が現れてのう。証人や証言に証拠にといとまが無い。神官は息子と共にハワードが隠し球として王家で預かっていた。またソフィア嬢は子爵家ロックフォローを脅しジュリアン嬢に迫るように脅迫した。どこにこの国の王太子妃の器となり得ようか」

「「クッ!!」」

「わ、私は王太子妃になるのよ!お父様こんなのおかしいわ!あのジュリアンより私の方が可愛いし王太子様に向いているわ!」


 そこで今まで黙っていた王妃様が口を開いた。

「ソフィア嬢、貴女はこの四年間でどれ程に王太子妃教育が終わったのかしら。二年間も学術院に通わず王太子妃教育の時間は充分にあったのだからとうに終わっていてもおかしくないでしょうに…貴女はまだ半分も終わっていないようですね。因みに先程調べたらジュリアン嬢は全ての項目で完全に条件を満たしていてよ」

「嘘よ!みんな嘘をついているわ!公爵家のうちより、…この私より良いなんて有り得ない!」

 もう取り繕えなくなったソフィアは公爵家令嬢とは到底言えない惨状だった。王妃様への非礼にも到底気づきもしない。


「もう良い。ヴァロス公爵家とその身内や関係した者を地下牢に捕らえよ!」


「なんで!なぜ!陛下!陛下!」暴れ回るヴァロス公爵の面々は王家騎士団達に捕らえられ引きずられるように連れ去られた。


最後まで読んでいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] > それから幾月・・・ 子爵家長男ロックフォローとの深夜の話の三日後。 幾月と三日後では表現が相反すると思うのですが・・・?
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