第47話 HK33
「じゃあ、射撃訓練だな。一応、拳銃は100発。ショルダーウェポンは1000発が月のノルマだ」
かなめはそう言うと段ボールから自動小銃を取り出した。
「ショルダーウェポンって……長い銃のことですか?」
誠の間抜けな問いにかなめは明らかに軽蔑のまなざしを誠に向けてきた。
「長い銃って……まあ、いいや。うちの長物の基本はHK33なの。まあ、パイロットは基本カービンタイプのHK53を使うんだけどな」
そう言ってかなめは黒くて短い小銃を誠に手渡す。
「やっぱり銃器はドイツ製よね……こいつはローラーロッキングシステムなんていうヘッケラー&コックお得意の特殊システムで反動が小さいのよね」
誠のHK53よりも少し長めのHK33を受け取ったアメリアが早速マガジンを銃に叩き込むとボルトを引いて射撃を始める。
アメリアもまた戦闘用人造人間『ラストバタリオン』である。数百メートル先のターゲットに早いセミオートマチックの射撃で次々と命中させていく。
「僕も」
誠はそう叫ぶとそのままアメリアの半分ぐらいの距離にある的に向けて狙いをつけた。
引き金を引くが弾が出ない。
「マガジンが入ってないな。ボルトも弾いていない。普通それでは弾は出るわけがない」
カウラの言葉に誠は照れながらマガジンを差し込んでボルトを引く。さすがにセレクターを安全状態からセミオート射撃に切り替えることを忘れるほど誠は間抜けでは無かった。
「当てますよ……」
そう言いながら誠は引き金を引いた。
アメリアの銃の上げる断続的な射撃音に紛れて一発の銃声が鳴るが、弾は的のはるか上方を超えて行った。
「オメエはホント……銃は向いてねえな」
かなめの言葉に誠は少し落ち込みながら見事に的を外しつつ射撃訓練を続けることにした。