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第45話 H&K P7M13

「その点……これは……」


 アメリアが持ち出したのは奇妙な形の銃だった。


 スライドがやたら細くその割にグリップが太めに見えた。


「出たよ……珍銃『H&K P7M13』」


 明らかに嫌な顔をしながらかなめがアメリアの銃を見つめていた。


 大柄のアメリアの手の中で小さな銃が鈍い光を放っている。


「何と言ってもこのコンパクトなスライド!ガス遅延式ロック解除システムだからこんなにスライドがコンパクトで軽いし!」


「そんなの経済全盛期のドイツの警察特殊部隊だから買えるほどいい値段するじゃねえか」


 アメリアの売りをかなめが一刀両断に斬り捨てた。


「いいじゃないの!中古なんだからコストの話は無し無し!それに売りは『スクイーズドコック』」


「『すくいーずどこっく』?」


 誠は全く見たことが無いアメリアの珍しい銃を食い入るように見つめた。


「そう!このグリップに秘密があるのよ!」


 そう言ってアメリアはグリップを放して見せた。そこには握りこむような大型のレバーがあった。


「なんです?この握りの部分がやたら大きいのは」


 誠の食いつきにアメリアは満足げな笑みを浮かべた。


「これはね、ここを握った量だけ撃針……まあ、カートリッジの後ろを叩いて発射する機能なんだけど、そこが握ると後退していつでも引き金を引けば撃てるようになるのよ!だから握らないと絶対に弾が出ない安全機構なの!」


 アメリアはそう言うとかなめを押しのけて射場に乱入し、銃を乱射した。


「でも……連射するとスライドの中のシリンダーがガスの熱で熱せられて持てなくなるよな、それ」


 陽気に撃ちまくるアメリアにかなめが茶々を入れた。


「私は少佐!私は運行部長!私は艦長なの!私が銃を撃つようになったらうちの部隊はおしまい。だからワンマガジン撃てて、軽くて小さい銃がいいの!」


 銃を撃ち終えたアメリアはそう明るく叫んだ。


「だったらデリンジャーでも持てよ……自決用に」


 呆れたかなめの言葉を無視してアメリアはいつも通り明るく笑っていた。


「20世紀後半のドイツの誇る警察特殊部隊『GSG9』の制式拳銃よ!まさにうちのような正義を守る『特殊な部隊』の部長職にピッタリ!」


 訳も分からず立っている誠をアメリアはその糸目で見つめた。


「……そうですか……よかったですね……」


 銃にあまり興味のない誠はただそう言って笑うことしかできなかった。



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