表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/137

第23話 見知らぬ『システム』

 これまで経験した精神感応式オペレーションシステムにない精神負荷を感じながら、誠は全天周囲モニターの脇に奇妙なゲージがあることに気づいた。


「なんです?このゲージ。僕がこれまで乗った機体には無かったですけど……05式には何か新式のシステムが入ってるんですか?」


 誠はそう言いながら全天周囲モニター中央に見慣れぬゲージを拡大して見せた。


『ああ、それは……今のところ誠ちゃんには秘密なの』


 あっさりアメリアはそう言ってにっこりと笑う。彼女の糸目がなんともミステリアスな印象を誠に与えた。


「秘密って……軍事機密かなんかですか?なんで僕の機体に?」


 誠はそう聞いてみるが、彼よりはるかに上手のアメリアが秘密と言うものを漏らすはずも無かった。


『それより、誠ちゃん。勝算は……無いわよね』


 再びアメリアの少し残酷な言葉に誠はうなづくしかなかった。相手が人並みの腕であれば格闘戦には自信のある誠にも勝機はある。しかし、あのかなめの態度から見て、彼女の技術はそれなりに高いと見た方がいいくらいの予想はできた。


「まともに行って勝てる相手じゃないですよ……」


 そんな誠の視界の中でアメリアの隣に新たな画面が開いた。


『勝算ならあるぜ』


 そこに映し出されたのはランとカウラの姿だった。


「本当ですか?」


 気の弱い誠にはどんな小さな勝機でも見逃すことができなかった。『人類最強』を自称するランの助言なら何とかなるんじゃないか、誠はそう思いながら彼女の画面に顔を向けた。


『基本的にアイツは接近戦は仕掛けねーからな。鉄砲が当てにならずに格闘戦ばっかしてたオメーの方が格闘戦に関するノウハウの蓄積はあるわけだ』


「はあ」


 ランの明らかに誉め言葉になっていない言葉に誠は苦笑いを浮かべる。


『接近戦では経験よりは瞬時にどう判断ができるかが試されるわけだ。西園寺は確かに経験豊富だが頭に血が上るところがある。その点、オメーはそう言う接近戦での判断力は剣道場でお袋に鍛えられてんだろ?オメーがおびえたりしなければその点でも互角にやれる』


 ランの言葉に隣のカウラも静かにうなづいた。


 確かにかなめは初対面の誠からしても直情型の女性のように見えた。


『そして……いや、これは言わねー方がいいか。まあ、オメーが使うことになる『05式乙型』に乗ってるオメーを接近戦で倒すのは結構手間なんだわ』


「はぁ?」


 誠は最後にランの言った言葉を理解できずにいた。


 ただ、どうやら全天周囲モニターに映る見慣れないゲージがランの言葉に関係しているだろうことだけは推測が付いた。


『おーい。準備できたか!』


 モニターにかなめのたれ目が映し出された。


「なんとか……」


 誠はそう答えつつ、操縦桿を握りしめた。


 かなめの赤い機体が望遠画面の正面に映し出される。


距離は1000。もし飛び道具アリならば数秒で誠機は撃墜されているような距離だった。


『それじゃあ、西園寺かなめ対神前誠。模擬戦、スタート!』


 アメリアの合図で模擬戦は始まった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ