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第132話 降格と……

 ゴトリとドアの向こうから音がした。


 嵯峨は誠にしゃべらないよう手で合図するとドアを開く。


 かなめ、カウラ、アメリア、パーラ、サラ、そして島田がばたばたと部屋の中に倒れこむ。


「盗み聞きとは感心しないねえ」 


 六人を見下ろして嵯峨が嘆く。


「叔父貴。そりゃねえだろ?神前の下の世話はアタシがやるから!飼い主の責任は果たすから!飼っていいだろ!こいつ」 


 どうやら誠はこれからもかなめに飼育されることは決定しているようだった。


「そうなんだ。じゃあ今回の降格取り消しの再考を上申するか?上申書の用紙ならあるぞ?たぶん握りつぶされるだろうけどね……俺達上に信用ねえから」


「そうじゃねえ!」 


「無駄だ、西園寺。上層部の決定はそう簡単には覆らない」


 立ち上がって埃をはたきながらカウラはそう言った。 


「カウラちゃん薄情ねえ。もう少しかばってあげないとフラグ立たないわよ」 


 アメリアが立ち上がって糸目でかなめをにらみつけた。複雑な表情の彼らの中で、島田だけは顔に『よくわかんねえ』と書いてある。


「まあいいや、神前軍曹!これからもよろしく」 


「西園寺さん、曹長なんですが……」 


「バーカ。知ってていってるんだ!」 


 かなめがニヤリと笑った。


「それよりアメリア。いいのか?今からここを出ないと艦長研修の講座に間に合わないんじゃないのか?」 


 嵯峨が頭を掻きながら言った。


「大丈夫ですよ、隊長。ちゃんと東和宇宙軍本部からの通達がありました。今日の研修は講師の都合でお休みです」

 

「なんだよ。今回の出動のご苦労さん会に来るのかよ……せっかく一人分部屋が広くなると思ったのによ」 


 愚痴るかなめをアメリアは満面の笑みで見つめている。


「かなめちゃんなんか文句あるの?」 


 馬鹿騒ぎの好きなかなめの言葉にアメリアが釘を刺す。


「別に」 


 かなめが頬を膨らましている。


 誠は彼等が相変わらず『特殊な部隊』の愛すべき馬鹿であることを再認識して少し優しい気分になった。



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