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怪談「沿岸のドライブ」

作者: VLP

 この話は後輩のNさんに聞いたお話です。


 Nさんがまだ短大生だった頃、付き合っていた彼氏と茨城県の某所にドライブに行った時の事です。


 季節は丁度夏の終わりぎわ、涼しい風も吹き始め秋を感じる頃、2人でドライブをすることになりました。

 お互い車をもていたのですが、今回はNさんの車で行くことになりました。


 お互いに運転を変わりながら色々な場所を巡り、最後に茨城県の某有名ビーチのある町の沿岸をドライブしていました。

 沿岸沿いを走っていると、丁度海とテトラポットが望める駐車スポットがあり、そこに車を停めると、2人で何気ない会話を楽しみながら散歩をしていました。


 しばらく散歩を楽しみそろそろ帰ろうかなんて話しながら車に戻ってくると、丁度夕日が水平線にかかる頃でした。

「帰りは私が運転するね~」なんて言いながらNさんが運転席のドアを開けながら、「夕日奇麗だね~」っと言うと彼氏が助手席のドアをあけながら「夕日は奇麗だけど、ほら」とテトラポットの方を指さして「色んなゴミが流れついて結構アレ・・・だよなぁ・・・?」と助手席に座ると・・・なにか・・びっくりするように動きを止めて窓の先を見ている・・・

 そんな彼氏の様子にNさんが「どうしたの??何かあった??」っとひょいっと彼氏が見ている視線の方に目をやろうとすると、突然彼氏が我に返り慌てた様子で「!?いや・・Nは見ない方がいい!さ!車出して!早く帰ろう!」とその場から早く逃れたい様子でNさんも慌てて車のエンジンをかけて帰路につきました。


 帰り道、先ほどの様子に無言で運転していたNさんでしたが、やはり気にもなるので「んと・・・さっきの・・いったい何だったの?」っと尋ねました。すると彼氏は一瞬考えましたが、眉をひそめながら教えてくれました。


「あのな・・・さっき助手席座ってテトラポット指さしただろ?あの時なんか白いものが挟まってたのな?・・・んで、何だろう?っと思って俺ソレをよーく見てみたら・・・日本人形の首だったんだよ・・」


 彼氏の告白にNさんは「・・え?それだけであんなに驚いてたの?www」っと笑みを浮かべましたが、その様子に彼氏は怒るでもなく続けてこう答えました。


「・・・最初は俺もなんだ人形の首か・・くらいにしか思わなかったよ・・・・ただ・・そう思った直後にさ・・・・その首・・・俺の方見たんだぜ?」っと・・・


 なんでも、彼氏が言うには、最初その首はテトラポットに挟まって上を向いていたそうなのですが、彼氏がああ、なんだ人形の首かっと思った直後、その首がぐりんっと動いてこっちを向いて目線があったそうです。


「でさぁ・・・急に動いて目線があったもんだから俺も固まっちゃって・・・今思えば波とか風とか・・・そんなんで動いたんだろうとおもうんだけど・・・とにかくお前に見せない方がいいと思ってさ・・・」


 彼氏はそこで黙ってしまい・・・その後の車内も何となく重くなってそのまま帰路につきました。




 翌日、ドライブから帰ったのが夜遅く、その日はそのまま寝てごろごろ過ごしました。


 そしてその次の日、流石に海にドライブもしたので車を洗おうと洗車機に向うため車に行ってみると・・・なにか・・・車に違和感がある・・・

 何だろう?っと思いNさんが何気なく車の周りを回り違和感の正体を探そうとみていると・・・Nさんは目を見開いて動きが止まった・・・


 違和感の正体・・・それは・・・助手席側の窓。そこを見ると・・・そこには無数の小さな跡がついている・・・それはあたかも指紋の跡の様に見える・・


 Nさんは息を飲みながらその跡をよーく見てみると・・・それは指紋じゃない・・それは・・小さな小さな・・・人の手形だった・・・そう・・丁度お雛様のような日本人形くらいの・・・


 Nさんはその場で腰が抜けぺたんっとその場に座り込んでしまった・・そして・・・その座り込んだ視線の先には・・・窓だけではなく・・・助手席側・・車の縦半分に無数の小さな小さな手形がついていることに気が付いてしまったそうです。



 その後・・・Nさんはどうにか家に入り、父親に頼んで車の洗車にいってもらい、父親の勧めもあって彼氏と二人でお祓いにいったそうです・・そして、それが原因で彼氏とも何となくお互い距離を置くようになり、その夏の終わりともに別れたとの事です。



 あれが何だったのか・・・それはわかりませんが、特にその後NさんにもNさんの車にも特に変わった事はなかったそうです。・・・・ただ、Nさんの別れた彼氏は時折何処からか妙な視線を感じる様になったそうです。


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