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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ゲーミング呪殺

作者: 狐の孫族

 皆様はここ最近ネットで流行っていた、七色に光りながら首をぐるぐる回す鳥をご存じだろうか?


 そう、下ネタにやたら反応し、高速で首を回しながら七色に光る鳥である。

 御存じでない方は調べてみて欲しい。


 この七色に光るもの、これを世間では「ゲーミング」という呼び方をする、そしてこの「ゲーミング」は、様々な投稿動画の分野で猛威を振るっているのだ……


 そして、そんなゲーミング動画に何故か魅入られ、ゲーミング動画を漁っている青年が一人……


「ん?なんだこれ?」


 青年が見つけた動画、それは確かにゲーミング動画であった、だが……


「【本当に死にます】ゲーミング呪殺……?」


 青年は本当にただ、ヒマ潰しに動画を漁っているだけなのだった。だが……


「タイトルが気持ち悪いなぁ……再生やめとこうか」


 この動画だけは再生したくない、そう思えてならない。青年はウェブのブラウザを閉じようとし……


「あれ? 何で? 閉じない!?」


 一生懸命ブラウザの×を連打する青年、しかし、ブラウザは一向に閉じない、それどころか……


 ページがゆっくりと下にスライドし、動画を自動で全画面にする、そして、再生が始まった……


「ちょ、止まれよ!!」


 カチカチカチ、カタカタカタ、一心不乱にマウスやキーボードを操作するが、PCは全く動かない。


 動画の中では薄暗い森の中、井戸が1つ、ポツンとある動画だった。


 そして、その井戸から長い黒髪の女らしき人物がゆっくりと井戸の中から頭を出し、這い出そうとしていた……その時……


『OPPAI』


 動画の中に響き渡る、動画にそぐわないセリフとボイス、そして、井戸の淵まで出てきたところで、髪の色を7色に変化させながら首を激しく振る女性


「なんだ、ただのゲーミング動画か」


 そのまま女性が数秒、7色に髪を光らせながら井戸の淵で首を振っている動画を眺めていると……


 次の瞬間、井戸から完全に出て、こちらにゆっくりと歩いてくる女性が映し出された……


「ちょっと、ゲーミング動画にしては暗い動画だなぁ……」と、何故か平然と眺めてしまっていたが……またもや動画内に響き渡る


「OPPAI」


 そして、先ほどよりも至近距離で髪を7色に光らせながら、激しく首を振る女性。



 それをまた数秒眺めてると、動きが止まり突然……





――黒髪の女性が画面にアップで映し出され、そして、女性は血走った目でこちらを見ている





「う、うわぁ!!」


 目が合ってしまった、そう思った青年は思わず椅子から飛び落ち、そしてそのまま、PCのブラウザは閉じたのであった……


「な、何だったんだ今の動画は……」


 ゲーミング動画ではあったものの、やはり気味が悪い、こんな気分を払拭するためにも……


「気分転換に別のゲーミング動画探すか」


 そうしてゲーミング動画を漁るだけで休日の1日を過ごした青年であった。




――その時、カウントダウンが始まっていたとも知らずに……




*****************


――1日目


「おはようございます」


 青年は普段通り出社していた。休日に十分休養し、今日からの仕事も頑張ろう、そう思った時であった。


「よう、おはよ……どうした?寝違えたか?」


 青年の上司がそう声を掛けてくる。決して自分は寝違えたつもりはないのだが……


「いえ、むしろいつもより爽やかな朝だったと思います」

「そうか、それならいいんだがな……」


 上司に言われた事が引っかかり、青年はお手洗いに行ったついでに鏡で自分の姿を改めて確認したところ……


「な、なんだこれ……」


 顔色は若干黄色く、首はすくんだように縮こまり、頭を右肩に乗せんとばかりに頭が傾いていたのだ。


(まあ、生活に支障はなさそうだし、いいか……)


 青年はそのまま仕事を続け、いつも通りに帰宅した。



*****************


――2日目


「おいおい、お前、大丈夫か?」

「え?」


 今日こそは体調万全、と思っていたら、上司からまた声を掛けられた。


「顔色が赤いぞ? それに、昨日よりは首が伸びてるけど、なんか斜めってないか?」


「そうですかねぇ?」


「とりあえず、今日は早めに上がれ。調子悪いようだったら明日は休め」


「はぁ……」


 気の無い返事をした青年ではあったが、また顔を確認すると、今度は首を右斜め上にピーンと伸ばしたような状態になっていた。そして、顔が今度は赤い。


「具合が悪いと言う自覚ないけど……明日は休みをもらおうかな……」


*****************


――3日目


 休みをもらって今日は休養し、明日は出社しよう、そう思っていた青年であったが……なんだ、目線が若干いつもより高く感じる……


 それもそのはず、青年の首はほぼ真上にピーンと伸ばされ多様な状態になっているのだ、そして顔色はまさかの


「緑……!?」


 おかしい、自分は現実世界に生きているはずだ。現実に居る人物の顔色が緑なんて、聞いたこともない……これは明日、病院に駆け込むべきだろうか……?



*****************


――4日目


 非常に体が重い……まともに体が動かない……


 首は今度は左上にピーンと張っており、顔色は青……


 病院に行った方がいいだろうか……でも、行くほどの体力もない……



*****************


――5日目


 もう、布団から出る事すらおっくうである……


 それでも日々の顔色の観察は忘れずに……今度は紫だな……


 そして、首は今度は縮こまり、頭を左肩に乗せんとばかりに傾いている……



*****************


――6日目


 結局、週2日しか出社出来なかった……上司にどう謝ろう……


 首も今度は下を向いた状態で固まっており、顔色がスカイブルーである……


 面白いものだ、約1週間で顔色が6色に変わり、首がほぼ1週してしまった……


 顔色がころころ変わり、首が回る……そんな動画をたくさん見てきた気がする……


 だが、青年の意識はもうろうとし、それ以上思い出す事もなく、意識は沈んでいった……



*****************


――7日目


 先週から首が変な体制で固まっていたが、今日は普通になった、だが顔色が……


 白、これはもう、血流が無くなってきた証拠なのではないか……このまま死んでしまうのではないか、青年はそう思うようになってきた。


 そして、1週間前に見た動画の事を朧気ながらに思い出す……都市伝説であったなぁ……見たら1週間後に死ぬビデオってのが昔あって、そのビデオテープが世の中から消えるタイミングで、ネットに流出したとか……




 もしかしたら、この前見た陰鬱なゲーミング動画、あれがそれなのかもしれない。そう考えると、面白いものだ……流行りモノに乗っかろうとするのは人気の欲しい生者様も、人を死に誘う呪いのビデオ様も同じだったようで……






 そこまで考え、青年は瞳を閉じ、そして二度と目を覚ます事は無かった……











 時代によってアイテムと言うものは様々な変化を遂げる。


 ビデオはネット動画になり、ケータイはスマホに、時代は移り変わる。


 そして、人を襲う恐怖すらも、新しい姿で人々を待ち構えているのかもしれない。







 もしかしたら、貴方が好きで見ている動画……


 貴方が好きで読んでいるネット小説……


 貴方が好きでやっているゲーム……それらはもしかすると……






 古の呪いのアイテムが貴方に好かれようと変化したものなのかもしれない……

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