表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冒険者ギルドの依頼人  作者: いかや☆きいろ
一章 冒険者たち
45/46

聖女王:だらしない聖女たち

 邪神と対比的な。



 聖女王国は私、聖女王を中心に四大聖女を置き、その下に神官長、聖女長たちが集まって構成されている。今日は私の命で四聖女が集まる日となっている。


 今集まっているのは『不滅』と『再生』だけだ。『無限』と『永劫』はいつも遅い。


「あの二人は四聖女の自覚はおありなのでしょうか……」


「まあまあ再生、そうイライラしないの」


「不滅が甘いからあの二人がつけあがるんですわよ!」


「いっても仕方ないでしょ、あの子たち」


「ぐぬぬ……」


 再生は真面目な子なのだがプライドも高く融通が利かない。よく他の三人に「悪役令嬢みたい」とからかわれている。まあ王子様と婚約したりはしていないけど。青い髪に青い瞳、つり目で、見た目だけではなくお嬢様ではある。


 不滅は薄い金の髪に青い瞳。四聖女最強と言われているが事情があって特定の人にしか心を開かない。他の三人の信もあつく、リーダーとして頑張ってくれている。しかし、この話を聞くとどういう行動に出るやら……。


「……おはよー」


「永劫、遅いですわよ」


「おはよう永劫。お寝坊ね」


 四聖女で最も若い永劫は金色の髪に金色の瞳。小さくて可愛いのであんな口ぶりだったが再生も甘い。上から怒鳴りつけたりはしない。怒鳴っても聞かないだろうとも思われている。


「ひゃああ~! 私が最後ですか!? すみませんすみません!!」


「遅いなあ無限は。またミルク・ミルクの高級チョコおごってもらわないと~」


「またですかぁあ!! あそこのチョコ一箱で小金貨一枚とかおかしくないですかあ?!」


「箱がこうきゅうよね、あれ」


「無限、永劫もさっききたばかりだから気にする必要はありませんわよ」


「永劫もちこくじゃないですかあああ!!」


「ちっ、バレた」


 無限はピンクの髪にピンクの瞳。ヒロインぽいわね。力はすごいのだが自信がなく、いつも眼鏡を落としそうになっている。目が悪いわけではない。伊達眼鏡だが、それだけ人の目線が怖いらしい。


「はい、みなさんが静かになるまで五分かかりました。今日の議題ですがまた聖女狩りが出たようですね」


「あれ、まだ生きてたんですか? しぶといですね」


「ゴキブリみたいに何びきもいるのかも」


「き、ききき、気持ち悪いですぅ!!」


「でもあれさ、首を斬りつけられたくらいで死んじゃう聖女っておかしくない? 首をはねられても死なないのが聖女だよねぇ」


「永劫、普通は死ぬものですわ」


「再生も死ぬの?」


「……頭を潰されたら死にますが」


「再生が? 面白い冗談だわ」


「不滅と一緒にしないでくださいませ!」


「で、でも回復魔法をかけ続けていれば大丈夫でわわわ……なに言ってるんだろう!!」


「つまりここにいる五人は少なくとも首をはねられたくらいでは死なない、と!」


「永劫の場合自分で首を外せるわよね」


「不滅もできるよねぇ?」


「私は刃物がいるわ」


「二人ともおかしいのがわかりましたあ!」


「ハイハイ、あなたたちそれくらいにしてね。対応は無限に任せてもいいかしら」


「うっかり死んじゃわない? 私も暇だよぉ?」


「いいわ、無限には経験が必要よ」


「わわわ、わかりましたあ!」


 ふう、やっと話がひとつまとまった。女の子四人集まるとかしましいを通り越すわね。次の議題にいって大丈夫かしら。


「次の議題は、近々バンパイアの王国ゲッコーの第三王子が兵を率いて小人族の村へと襲撃を企てています。これにはホシトミツキとしては対応できません。かねてよりのお話がまとまったタイミングを狙っていたのでしょうね」


「小人族の村!?」


「どうしたのですか、不滅らしくない」


「不滅の知り合いがいるんだよね、あそこ」


「そそそ、それは大変じゃあ!?」


 こうなることはわかっていたんだけどね、それを各国に知られるわけにもいかなかったし。そしてこの対応になるのには理由があるのだけど、不滅は納得しないだろう。頃合いかもね。というか結論は出ているのだけど。


「それに私個人が対応するのは……」


「背後に我々がいることは明らかになるでしょうから、行くなら私を殴って出奔することね」


「ママを殴るなんてできません!!」


「まって、不滅、ようするに殴ったことにして出奔したからホシトミツキは関係ありませんという状況にすればいいのですわ」


「そ、そもそもさあ、状況からいって不滅が動かなくても……」


「不滅さんがいないとさみしいのですよお!!」


「ちちち、違うもん! 不滅なんていなくても永劫はもう大人だよ!」


「……可愛いですわ」


 はあ、やっぱりかしましい。でももう決まっている。不滅は出ていくわ。いずれ帰ってきてもらうけどね。


ママの目(・・・・)はそう言ってるんですね」


「そうね」


「分かりました、行かせてもらいます」


「元気で、とは不滅に言っても仕方ないわね。幸福に」


「はい」


 このあと永劫がしばらくぐずったが、結局不滅は出奔を選んだ。こうした方が彼女の目的も早く達成できる。いいことなのだけれど、やはり寂しいわね。


 私の能力は『神眼』であり、見たものは間違いなく起こる。抵抗すれば変えることもできるのだけれどね。今回のケースは仕方のないことだわ。あまり先を読むのはやめておきましょう。寂しくなるもの。






 四聖女の能力はガチヤバです。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ