表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冒険者ギルドの依頼人  作者: いかや☆きいろ
一章 冒険者たち
34/46

マリモ:対峙3

 そういうわけで、冒険者ギルドに紹介状をもらい、神殿に向かう。シータさんは暇だから、と着いてきてくれている。……命の恩とはいうけど、明らかにシータさんの優しさだよね。……応えなければ。


 神殿に入ると、ああ、あー。あれだ、あの女神様の雰囲気を感じる。白と言うか乳白色の柱とかパルテノン神殿ぽい。実物を見たことはないけど。真ん中に目を鉢巻きのような布で隠した女神様の像。不思議と本人に似ている。まあ何度か降臨しているらしいしね。


 神殿に勤めている巫女?が案内してくれる。この神殿の神官と挨拶をするらしい。……なんだろう、ゲーム的って感じる。


「ようこそ、大精霊殿」


 帰りたくなってきた。初見で見抜かれるものなんだなぁ。


 薬師としての名声は高めたいけどドリアードとしての名声は高めたくないんだけどなぁ。仕方ないか、セットだし。


「私は治療院で働きに来た」


「……ふむ、こちらの書類でも冒険者ギルドとして保証するとありますね」


 ……そんなこと書かれてるんだ。下手なことできないね。……シカリクさんは一発殴ろう。枝を二十本くらい束ねて。ちなみに枝一本の握力は二十キロくらいだよ。四百キロのパンチじゃ軽いかな? ちなみに張力は一本で二百五十キロくらいだよ。お相撲さんを吊り上げたらさすがに一本だと切れる。


 まあいいや。さっそく治療院に案内された。ポーションの材料は依頼でかなり集まってるから足りると思うけど……。


 治療院の料金設定は固定だし、冒険者ギルドに集まる薬草も今のところ無尽蔵だからたぶんいけるけど、治療を始めよう。また依頼出しておかないとね。ギルドには欠損回復ポーションを六本、オーシマ大陸の各国でオークションにかけてもらってるのでそのうち大金が手に入る予定だ。一本推定で白金貨五十枚から百枚で売れるだろうと言われたので……まあ大金持ちである。依頼人が大金持ちの方が冒険者も助かるよね。


「あの、よろしくお願いします……」


「うん、よろしく」


 可愛いピンクの髪の女の子だ。目もピンク。治癒師の子でマナちゃんと言うらしい。今回私をサポートしてくれる。カバンに魔力ポーションも入ってるから頑張ってもらおう。


「患者さん入ります」


「はい」


 それからは怒濤であった。患者さんのほとんどは軽い怪我や風邪なのでドーナツ食べさせたら風邪は良くなるし簡単なポーションを数滴で怪我も癒えたが、数が多い。一応胸元にマリモと書いた名札をつけているがこれで名声は高まるものだろうか?


 料金は神殿でもらってくれてるので安心。儲かった分はギルドで冒険者たちに還元しよう。考えてみれば私が大金を持ってた方が冒険者たちも助かるんだな。お金お金言うの好きじゃないけど。


 何人も治療してるうちに、瘴気で弱ってる人も出始めた。うん、やっぱりデーモン動いてるね。……ガウルさんたちは大丈夫だろうか。


 冒険者で重傷者がいくらかいるもののだいたい軽い症状の人なので余裕でさばいていく。昼休憩に入った。


「マリモ先生はなぜ治療院にいらしたんですか?」


「名声を高めるため」


「名声を? なぜでしょう」


「弟子をとりたい」


「弟子を?」


 そもそも一人じゃ病を駆逐しきるのは無理だと初めから分かってるからね。弟子というか、手を増やしたいんだよね。今は大丈夫だけど疫病が発生してからでは遅い。なるべく早くできる人を増やさないと。


 そのための知識なら女神様にもらってるからね。インチキだって言うかも知れないけど使えるものは使う。鉄則じゃないかな。まあ適当にサボるんだけど。


「私も聖女になる過程で薬師上級は必要なので私が弟子ではダメでしょうか?」


「ほんと? 助かる」


 マナちゃんは聖女を目指してるのか。聖女になるには治癒師、薬師、結界師、星占術師で上級を取らないとダメらしい。勇者の十種上級に比べたら簡単だけど後衛職ばかりなので大変そうである。ちなみに複合職は全部上級からなので勇者になるためには一般職を五つか六つ上級にして複合職にいくつか転職すればいいらしい。抜け穴。まあそれでも大変だけど。


 ともあれ、一人目の弟子ができた。冒険者ギルドでいつもいるので暇なら来てもらうことにした。


 午後の治療が始まる。やっぱり大きな怪我はないものの、たまにデーモンにやられたらしい精神を病んだ人が来る。ん? 朝はいなかったのにな。白昼堂々とデーモンが活動してるらしい。


 スラムのお金がない人も神殿がお金を出して招いているらしい。重傷者だけだけど、やはり神殿もデーモンの動きを把握してるんじゃないだろうか。デーモン症の人がいたら一刻も早く治さないと他に被害が出てしまうもんね。


 一人だけデーモン症の人がいたので無理やりドーナツを食べさせた。一発で治ったよ。やるじゃんドーナツ。ちなみにフレンチクルーラーのチョコとナッツのトッピングのやつ。マナちゃんにもあげたら幸せそうにほおばっていたよ。


 うーん、意外とデーモン侵攻して来てるね。明日はスラムを回ってみようかな。ソロムルさんたちにも会っておかないとね。


 もう数日は治療院に通って、少しでも名声を高めておこう。普通目立つのはダメみたいに言われるけど私としては目立たないと目的が達成できないからね。幸いドリアードなので貴族に取り立てられたりはしないだろう。


 しないよね?






 行くが。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ