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冒険者ギルドの依頼人  作者: いかや☆きいろ
一章 冒険者たち
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マリモ:対峙2

 10/29 月の女神様の説明を追加。

 ギルドに戻ると朝一番に森に向かったモフられし者メンバー、ガウルさんたちが帰ってきていた。早くない? なにかあったね?


「先生、報告だ」


「今日のお肉はなに?」


「鹿肉」


「美味しそう。ソテーください」


「いきなり肉頼むんだからもおぉ~」


 羊のメームーさんと今日の肉について話しているとガウルさんがすねた。冗談だってば。あ、柔らかいしくどくない。赤身の美味しいお肉だ。甘めのソースも合うな。野菜中心でじっくり煮込んでワインとかお酢とかで味を調えているらしい。はっ!? 食べてた!


「報告は?」


「北の森西部でレッサーデーモン三体と遭遇、撃破ぱくりもぐっむぐっ」


「レッサーデーモン。やっぱりでたんだもぐ。……どうしたのガウルさんはむっ」


「……いや、話が進んでるんでいいです。こっちピーチティーくださーい」


 乙女か。ガールさんか。


 しかしレッサーデーモン三体とは、異常だね。召喚してるデーモン以上の悪魔がいるはずだ。北の森に潜伏してる? 北の森西部と言えば神樹平原側だ。そんな見晴らしのいいところまで三体もデーモンが出たということは、森の中にそれ以上の戦力が隠れているんじゃ……。


「ガウルさん、追加で探索の依頼をしても?」


「こっちもそのつもりです。ギルドには報告済みです」


 ……まあたぶんギルドはなにかしらすでに掴んでるけどね。


「私はしばらく神殿の治療院に行く。……ガウルさん、無茶は厳禁」


「もちろんです。いい冒険者は臆病者ってね」


 この世界の格言だろうか。まあ生き残って知識を蓄え経験を蓄えたのがいい冒険者というのは分かる。危険に踏み込んで生き残って行けるのがいい冒険者だろう。


「今回は調査。無理はしない。キックルもいる」


「キー!」


 ネズミ獣人のキックルさんはとても腕のいい斥候だ。音もなく素早く動き、森の足場の悪さもものともしない。毛皮のモフモフ加減も最高。


「モフモフモフモフ……」


「キ、キー!」


 うーん、お日様の匂いがする。


「ムーグルさんも気をつけて」


「は、はいい!」


「モフモフモフモフ……」


 ムーグルさんも狼なのに毛皮はモフモフふかふかだ。よく洗濯されている。洗濯でいいのかな?


「じゃあ行きますか。メームー早く食っちまえ……ってもうないねぇ~……」


「行く」


「キー」


「だ、大丈夫かなぁ……」


 私もしばらくぶりのお肉を補給したし、行こうか。


「では、解散」


「よっしゃ行くぞぉ」


「おう」


「キー!」


「わん!」


 ……ムーグルさん狼だよね? 犬じゃないよね?


 モフられし者メンバーと有意義な作戦会議ができたのでシータさんと治療院に向かう。ちなみにシータさんも専属にしたかったがSランクを専属にすると月に白金貨一枚(約三千万円)かかる……。プロスポーツ選手としたら普通かもしれないけど。……なので契約できていないのだけど無料で付き合ってくれている。……私風に言うと命の対価なので安いもの、らしい。いつかお返しせねば私の気がすまないけどね。


 フォレスターの神殿に着いた。星の女神様の宗教ということで星神教と言うらしい。ここで星神教の構造をおさらいしておこう。


 まず、この星には女神様がたびたび降臨している。ここ、フォレスターには女神様の試験場と呼ばれるダンジョンがあるためにひとつの聖地として認められているらしい。フォレスターはソーゲン王国の伯爵領ではあるが、その関係で独立性が非常に高い。フォレスター領内には二十五もの町や村が存在し、面積だけならば公爵領にも匹敵している。まあ魔物だらけなのである意味辺境伯レベルの権力を有しているらしい。


 戻って星神教。女神様が実在するので地球上の宗教構造とは違い、多神教なのに星の女神様が崇拝されている。主神は太陽の女神様で次席は月の女神様となっているけれど、日本神話で言えば天照大神様にも父神や母神がいるような話だ。これと別に四(はしら)の神様がいて、合計七柱をまつる宗教も存在している。


 一番メジャーなのが実質この世界の支配権を持っている星神教である。


 この宗教団体のトップが聖女王国ホシトミツキ、聖女王である。ちなみに聖女になるにはいくつか方法があり、聖女王国はそのための修行の地にもなっている。


 そして聖女王国から各地に聖女や聖人、神官が派遣される。意外と聖女王国では聖女や神官を束縛するようなことはしないが、責任感のある人たちによって各地の教会、神殿が運営されている。


 教会の役割はほとんど孤児院や小学校で、そこに訪れる人はいろいろな教えを受ける目的で訪れている。


 神殿の役割は多岐に渡る。まずは転職。神官のスキルにより転職できる。これは大きな役割で、各町、村に神官が数年おきに派遣されたりもする。このため就職できるのは五才から十才の間となっている。まあそれを過ぎても大丈夫らしい。


 ちなみに私は薬師の神職なので転職ができなかったりする。


 職業には初級職から天職まであるが、他には複合職と呼ばれるものがある。いくつかの職業で上級まで取ると転職できるのだが、例えばシータさんの職業は魔道騎士で、剣士、盾士、従魔術士、魔術師を上級まで極めないと転職できない。シータさんすごい。


 複合職には上級職より下はなく、上級職、特級職、天職、神職の四つしかない。神職は女神様に選ばれないとなれないし転職できなくなるので特別として、三種類のスキルを賜れる。一般職の方がスキル数だけは多いようだ。


 もちろん職業スキルだけあっても強くはなれないのだが。個人のスキルはとても大事なのである。


 聖女や勇者は神様に決められている以外でもこの複合職でなれるのだ。……条件は厳しいが。勇者なら十の職業で上級を取るとか。これには裏技もあるらしい。それはまた今度だね。


 そして、神殿の役割は他にもある。神官には真偽を判定するスキルもある。要するに裁判所的な役割も担っている。このため、誤審が起こりにくく、この世界の治安を守る要因となっている。


 最後に、神殿のもうひとつの役割、それが今回私がお邪魔する治療院である。






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