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冒険者ギルドの依頼人  作者: いかや☆きいろ
一章 冒険者たち
31/46

マリモ: 森で3

 はい。

 バンパイアの女の子に魔眼で見られている。照れる。


 呪いの魔眼とかじゃないけど鑑定されてるのは魔力で分かるね。


「ハイドリアード?!」


「はい」


「…………」


 駄洒落は受けなかった。それはどうでもいいが、私はお婆ちゃんが世界樹なので言ってみればこの世界の植物の王族らしい。森の中にいるトレントだったりアルラウネだったりドリアードだったり、その辺りの魔物はとても従順だ。私が声をかけたらたぶん俊足で集まってくれる。木の魔物はお尻に根が生えたりはしてないらしい。ゲームとかだとめちゃくちゃ俊足だったりするよね。根は?


「マリ姉……植物人間になってしまった……」


「めっちゃ元気だから気にしない」


「知り合い?」


 女の子が三人集まったので森の中なのに(かしま)しい。しばらく三人で現状について話し合った。フォレスターのことを話したら二人とも行きたがったので連れていこう。お婆ちゃんに教えてもらった技で一瞬で帰れるし。


 ゆずちゃんがお茶を用意してくれて落ち着いたところで私が興味のあったバンパイア、この世界の吸血鬼について質問してみることにした。


 デーモンも戦わなくてはならないけど、吸血鬼はどうなんだろう。


「うちのバカ兄貴が勝手に戦端を開いちゃったけど、結局戦争自体は……聖女に粉々に砕かれたと言えば良いのかしらね……」


「敗戦?」


「というか、聖女王国から四聖女の一人が出奔して勝手に暴れたらしくて……これがもう最強の聖女って呼ばれるような人で、本当に物理的に戦争が粉々になったのよ」


「意味が分からない」


「私も分からないわ。とにかくそれで私が敗戦処理のために気にくわない魔人貴族に売られそうになったりね」


「意味は分からないけど大変そう」


「大変そうだから私も出奔したわ」


 この世界でも当たり前のように陰謀戦争紛争、そう言ったものが溢れているらしい。まあ馬鹿みたいな紛争の結果売られそうになったこの子、フェイトちゃんは逃げ出したらしいけど。フカフカ主との戦闘は事故的なものだったようで強力な魔物だったから動きを止めて逃げようとしたのだが止めきれず、体を爪で割かれたりしたらしい。そのため呪いの魔眼を使って逃げたようだ。


 ちなみにゆずちゃんもフェイトちゃんも二人とも酷い服装だったので私が服を仕立ててあげた。精霊凄いとフェイトちゃんに何故か尊敬された。


 この世界のバンパイアについて聞いてみる。


「日光とか別に平気だけど、私たちバンパイアって神経が鋭敏だから眩しかったら偏頭痛起こしたりするわね。水のちらつきとか苦手よ」


 バンパイアが水を苦手にするって言うのは実は他の魔物の話が混ざってると聞いたことがあるけど、この世界のバンパイアは水もやはり苦手らしい。光がチラチラして偏頭痛になるから。


「にんにくは普通に食べるけど人の口臭は嫌よ。バンパイアは神経質だから」


 バンパイアは目も鼻もいいらしい。なんか微妙に地球の伝説をなぞってるよね。理由はしっかりしてるけど。


「体を裂かれても死なないけど、頭の中に不死術式が入ってるから頭を砕かれたらまず死ぬわね。首をはねられるくらいなら大丈夫」


 それは大丈夫ではないと思うけど。やはりバンパイアは不死身に近いようだ。


「十字架? なにそれ」


 この世界に地球の宗教があるはずなかった。


「銀の銃弾? なにそれ。銀の剣で斬る? あなた自分の体で試したことあるの?」


 なかった。


「血はね、戦場で魔力枯渇したら吸うから、バンパイアと呼ばれてるのよ。昔から血液の魔力の高さは知られているでしょ。私たちは直に魔力を吸収できるから血を吸うんだけど、緊急回避的な時だけよ。レッサーバンパイアはゾンビと変わらないから人間も食べるけど一緒にされたくはないわね。人間を猿と呼ぶようなものよ。人肉を食べるようなバンパイアは仲間内からも悪食呼ばわりされて嫌われてるわ」


 まあ怪我とか欠損を回復できると言っても魔力はいちいち消費される。これはこの世界の物理原則だ。それを補うために彼女たちバンパイアは吸血と言う手段で魔力を補うらしい。常には吸わないそうだ。ちなみにレッサーバンパイアは死体を不死術式で操るもので人形に意識が生えた程度の存在らしい。食欲だけで動くゾンビと変わらないそうだ。ちなみにゾンビもレッサーバンパイアも病気の一種のようだが治療法はない。そういう病気も多いのがこの世界だ。私の敵は多いね。


「私うっかりフェイトににんにく食わせてたわ……」


「美味しかったわ!」


「毒じゃなくて良かったね」


 まあゆずちゃんによるとにんにくはけっこう毒性が強い野菜なので火を通さないで大量に食べるのは危険らしい。そこまで食べないけど。フードファイターの人とか肉体の許容上限超えて食べてるので本来は危険な行為なんだって。あの人たち体どうなってるんだろうね、好きだけど。美味しそうに食べてるのを見るのは幸せだよね。


「バンパイアはもともと魔人が不死術式を手に入れて成った種族だからね、耳とか尖ってるし人と子供も残せるけど、不死だからね、頭を砕かれない限り。なのであまり子供を残さないのよね、種族的に。質問はそれくらい?」


「十分に人間とは違うね」


「あんたもエルフだし性欲とかは似たようなものじゃないの?」


「私はにわかエルフだからなぁ」


 私もにわかドリアードなので自分のことはまだ良くわかってないね。


 さて、デーモンのこともあるし二人を連れてフォレスターに帰ろう。そろそろシータさんも帰ってくるだろう。


 シータさんは私の最強戦力だ。攻勢に出ないとね。デーモンは病を広げる私の敵だから、倒すよ。


 このあとゆずちゃんのサバイバルに付き合って、きっちり森で五日を過ごしてからフォレスターに帰った。ゆずちゃんのサバイバル知識が面白かったのでまたここにきて夏休み的な暮らしをするのも良いかもと思ったよ。樹液で水分補給とかメープルシロップは燃料が高くつくからあんまり有用じゃないとか。


 他にも聞いてみたくなるよね。そう言えばゆずちゃんは私が死んだ十年後まで生きていたらしい。地球のある世界とこの世界の時間軸はやっぱりずれているんだね。


 もはやどうでもいい話だけど。






ドーナツ「扱いが」


マリモ「適切」


 ドラキュラって普通の、むしろ善良な方の領主様だったらしいね。時代背景とか時代考証考えないとね。



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