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冒険者ギルドの依頼人  作者: いかや☆きいろ
一章 冒険者たち
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レンジ:現状確認

 レンジはさっぱりした感じで好きですね。



 異世界に来ていきなりモンスターとバトル☆


 なんもワクワクしないこころもホッとしねえイベントだわ! 勘弁しろや! まあ頭の中に「危険がいっぱいあるので死にたくなかったら逃げるように」とか「近くの町には強い人がいっぱい 」とか他にも細かく情報はもらえているけど……。この蜘蛛は売れるらしい。どうやって持って帰るんだ?


 殺虫剤が、スキル:ストレージというのを持っていて道具やお金を貯めておけるらしい。……俺のスキル? 狩人スキルだけらしい。そりゃ俺は弓が得意だったけどさ。


 簡単にいえば「殺虫剤が無双、俺はただの人」そんな感じ。


 死ぬわああああっ!!


 ……と、とにかくサバイバルするにしても逃げるにしても計画を立てて動かないとヤバイ。南西に小川があるようだが東に行かないと町にはたどり着けないようだ。ここは神樹の森といって、凶悪な魔物の巣や聖域なんかもあるらしいので迂闊(うかつ)にうろうろしない方がよさそうだ。


 とりあえず虫とかは殺せるんだよな……。人間にも害がありそうなんだけど頼るのこれしかないからなぁ、殺虫剤。ストレージつき。ちなみにいろいろスキルがあって虫除けにエアロゾル化もするらしい。エアロゾルというのは液体の状態を保ったまま揮発して空気と混ざりあい周辺に散らばり、……この場合は殺虫剤の結界が張られたような状況を作ってくれるらしい。ゴブリンとかにも効くので夜営に便利!とかの知識もインプットされてるんだが……。


 あの女神様頭おかしい(誉め言葉)。


 早速エアロゾル結界を張って、寝るか。俺が死んだの深夜だっつの。深夜に尾てい骨骨折。尻が割れました。


 尾てい骨骨折で即死はなさそうだから正確には背骨とか折れてたり内出血してたりとかが死因のはずなんだが……。まあそれはいい。


 殺虫剤って虫相手は無双だし、インプットされたデータによるとかなり甲虫の殻とかは高価で取引されるらしいし、ひょっとしたら大儲けもワンチャンあるかもな。殺虫剤が効くのはなにも虫だけじゃないし……。


 なんとか魔物に襲われずに一夜を過ごすことができた。殺虫剤が効かない魔物が来なくてよかった。……なんか周囲に大量に落ちてた虫をストレージにしまう。四十匹くらいいた。……起きろよ俺! こんなに大量の虫が飛び回ってたのにぐっすり寝てしまってた。殺虫剤が効かないはずの他の魔物も死体の山が怖くて近寄れなかったんだろうな……。


 しかしこの森は本当に深いな。狩人のスキルか、方向がなんとなくわかるのは有り難い。しかし飯はない。トイレもペーパーもない。サバイバルは羞恥心殺さないとできないな。衛生的にも死んでるが。上半身は裸だから冷えるし、初夏っぽいけど森の中は寒い。


 と、また虫だ。蜂が群れをなして飛んでいる。……全長1メートル超えた蜂の群れ。こええ、なに食ってんだろ。そういえば蜂は肉も食うんだったな。主に肉しか食わない蜂も多いし寄生蜂とかもいる。スズメバチがネズミを捕まえて食ってたなんて話も聞いたことがある。


 蜂の群れ。たぶん肉食。ん、さすがに避けようと思ったが、どうも人が襲われているらしい。余裕で捌いているが多勢に無勢だろう、助けねば!


 俺はその赤い髪の騎士さんっぽい人のところに殺虫剤を噴霧しながら駆け寄る。……自分以外の人間には効くとかないよな? うっかりで人間を殺してしまったら洒落にならないので噴霧を途中でやめた……のだが、エアロゾル化スキルの影響か、バタバタと残る蜂たちも落ちていった。……なんとかなったな。


 どうやら女騎士さんには効かなかったようだ。選択毒性最高。これ一応チートアイテムなんだな。


「救援有り難う……また女神様の誘われ人か。最近は多いな」


「……誘われ人?」


「神樹の森では二人目だな。マリモ……、知っているか?」


 ほえ? いや、他にもここで転生してるのか?!


 マリモ……さんは知らないが、前にゆず姐さんにそんな名前の親類が亡くなったと聞いたことがある気がする。……同じ地域から三人も誘われたのか? どういうことだろう。知り合いとかを女神様がとりあえず誘ってるとかだろうか?


 ……あの女神様面倒くさがりぽかったしな。


「たぶん俺もその誘われ人ってやつだと思うけど……」


「私はシータだ。フォレスターの冒険者をやっている」


「あ、俺はレンジだ。よろしく」


 とりあえず挨拶をかわす。いろいろわからんがゆず姐さんと合流してから聞いてみるべきだろう。頭の中に冒険者のデータも入ってる。俺は後衛だから誰か前衛の人とパーティー組んで虫狙いで冒険者するのが良さそうだ。


「すまない、フォレスターがよくわからないんだが、連れていってもらっていいだろうか?」


 どうも悪い人物じゃなさそうだし、頼んでみた。目が金色かと思ったら角度で赤く見える、なんとも不思議な瞳をしているが凄い美人である。胸は普通かな、ゆず姐さんに比べたらだけど。ただそれがスレンダーで綺麗だ。


「これから帰るところだから構わない。本当はマリモ先生を迎えに来たんだが、どうも入れ違いになったみたいだ」


 マリモ……さっき言ってた誘われ人、転生した人かな?


「いいのか? 用事があるなら方向だけ教われば一人で行くが……」


「問題ない」


 どうも親切につけこんでるみたいだが、助かるのは助かる。いつか礼はしないとな。……そうだ。


「この虫を持って帰るスキルとかあるか?」


「いや、私はストレージ系のアイテムもスキルも持ってないが」


「俺が持って帰るわ。換金したらそれで礼をさせてくれ」


 言いつつさっさと蜂の山をストレージに入れる。今朝大量に死んでた虫の分があるからこの蜂のお金は全部渡すことにしよう。


 冒険者ギルドとかワクワクするな。ファンタジーな世界で自分のものじゃないとはいえチートもあるし、適当に金を稼いでスローライフとかしてみたい。ゆず姐さんにも会えそうだしなかなかいい転生だったんじゃね?


 シータさんとフォレスターとかマリモさんの話を聞きながら森を出ていく。平原に出れば彼女のドラゴン!で、半日でフォレスターにたどり着くそうだ。ドラゴン……すげえな。ファンタジーだぜ。


 そしてぼちぼち森を抜けるかと言うところで、緑の髪に緑の瞳をした少女に出会う。


 これが俺とあの人の出会いだった。





 次はまた少し間が開きますがマリモのターンです。



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