俺達の勝ちだな!
「シズさん、【閃光の勇者】の奥さん連れてきたよ」
改めて【閃光の勇者】の嫁が協力者になってくれた事をシズさんに報告した。
「いらっしゃい、ゆっくりしてください」
表面だけの挨拶をしたシズさんが、金属製の腕輪を【閃光の勇者】の嫁に渡した。
「悪いけど、こちらを腕に装着してください」
「何これ?」
「これはマジックアイテムなの。この腕輪をしていると、この宿屋から出られないわ」
「なるほど。【閃光の勇者】が連れ出せないように対策したわけか」
「そうよ。今日はもう遅いから、話は明日にしましょう」
シズさんが笑顔で答えた。
◆◆◆
翌日、朝食を食べながら遠征メンバー全員で会議を行った。
「明日には【閃光の勇者】の奥様が監禁されたという噂が、王国で広まるようになっているわ」
シズさんが静かに口を開いた。
「【閃光の勇者】が噂を聞いたら慌てて来るだろうな。その時が勝負だ」
「先生、 本当に【閃光の勇者】を我々で捕まえる事ができますか?」
ゾッドが心配そうな顔をしている。
「任せろ! 俺とシノンでなんとかするから」
皆を安心させるために、わざと明るく言ったが可能性は低いだろう。
「あの〜、ちょっといいですか?」
【閃光の勇者】の嫁が口を開いた。
「主人は靴がなければ、ただの人ですよ⋯⋯ 」
「――どういう事ですか?」
シズさんが眉をひそめた。
「だから〜、靴を脱がせばいいんですよ!」
この【異世界】では、特殊能力の種明かしは御法度である。それは生死に関わる大問題だからだ。
「よし! 俺達の勝ちだな――」




