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ドロドロしてんな!
俺達はシズさんの提案を、受け入れることにした。
【閃光の勇者】は追いかけても永遠に捕まらない。逆に【閃光の勇者】に来てもらわないと、捕まえるチャンスも生まれない。
◆◆◆
「仙人様ですか?」
獣王国で、タカーマハラ王国のために情報を集めている狼男がやってきた。
「よろしくな」
「早速行きましょう」
無駄な世間話をせず、直ぐに仕事に取り掛かる。
シズさんの部下だけあって優秀なスパイだ。
「ここから歩いて三分程の民家に【閃光の勇者】の嫁がいます」
「その家には嫁の他に誰か居るのか?」
「居ません」
「そうか、楽勝だな」
「一つ情報があります。どうも嫁は【閃光の勇者】と離婚したがっているようです」
「うわ! ドロドロしてんな」
「仙人様にお願いがあります⋯⋯ 暴力とか拷問はやめて欲しいです」
狼男が俺に頭を下げながら言った。
「何故だ?」
「――幼なじみなんです」
「そうか⋯⋯ 分かった」




