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槍王の名に偽りなし
「仙人様、俺が先頭になりますよ」
ユウが先頭になり、迫り来る獣人達を次々と倒していった。
壁や天井を、四つん這いで走ってくる獣人がいるが、廊下が狭いから数で圧倒される事は無い。
ユウの卓越した槍捌きは【悪徳王】を倒した頃とは比較にならないほど、速く鋭くなっていた。
驚く事に、どうやらユウは敵を見ていない。研ぎ澄まされた感覚で、獣人の気配を完璧に捉えているようだ。
仙人の俺と遜色ない戦闘力、戦闘技術を【槍王】への進化によって身につけたようだ。
そして、ユウの体から立ち昇る真紅のオーラが、獣人を倒すごとに色を濃くしている。
どこまで強くなるのか――
【槍王】の名に偽りなし、ということか。
「エルダ、ユウについて行け!」
俺が最後尾になる事で、後方からの襲撃に備える。
「ユウ! 疲れたら先頭変わるぞ!」
――なんか変だな。一階から続々と獣人が上がってくる。




