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その残虐性にはドン引きです
二階へ上がると、一直線の長い廊下があり、廊下を挟んで向き合うように個室がずらっと並んでいる。
俺達は片っ端から部屋を調べていった。
俺とエルダは虎人が居なければ、何もせず静かに部屋を出る。
しかし、ユウが入った部屋からは、必ず獣人の苦悶の声や呻き声が聞こえる。ユウとは仲間だが、その残虐性にはドン引きである。
俺とエルダは、騒ぎにならないように、息を殺し淡々と部屋を調査していた。
「本当に虎人はいるのか?」
調べる部屋の数が残り僅かになって、微妙な違和感を感じた。
「大人しくしろ! このクソ野郎がァ!!」
突然ユウの怒声が響いた。
俺とエルダは、急いでユウが入った部屋に向かった。
目にしたのは、ユウが血だらけの虎人をマジックアイテムの拘束具で縛っている姿だった。
「よし!エルダが虎人を担げ。急いでここを出る!」
俺が廊下に出ると、ユウの怒声で目を覚ました獣人が、ちらほらと廊下に出てきた。
「なんだ!コラァァ!! 」
「起きろおぉぉ! リーダーが捕まった!」
目を覚ました獣人が、続々と廊下に集まってきた。




