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トイレに行きたい

 まだ深い闇に包まれた早朝。


 【仙人】の俺、【槍王】ユウ、【龍人】エルダ、【邪道師】シノン、【魔人】セイノスの五人は、気配を隠して反乱分子達のアジトへ疾走していた。


 反乱分子に潜入している、タカーマハラ王国のスパイから、虎人のリーダーが酒場にいるという情報を得たからだ。


 「エルダ、大丈夫か?」


 硬い表情から緊張しているのが分かる。


 マジックアイテムである【精霊王の守護石】と【怪力の指輪】を渡してあるから、死ぬ確率は限りなく低い。


 「仙人様、五十人対五人の勝負ですからね、エルダさんもナーバスになりますよ」


 戦闘狂のユウが、爽やかにフォローする。


 コイツは戦いの前が一番機嫌がいい。


 「おい仙人、エルダはトイレに行きたいぞ!」


 ――そっちか!!


 「ちょっとみんな――! トイレだ! トイレに寄って行こう!!」


 早朝からトイレを探す羽目になったが、おかげで殺伐とした空気が少し和らいだ。

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