獣王ガイロウと謁見
俺とシズさんとゾッドの三人は、【獣王】と会うために、獣王城にある謁見の間に通された。
獣王城は日本の城のように、石垣、塀、櫓、土蔵、曲輪、天守を備えた城郭建築で作られた城である。
「どうぞ、お入りください」
案内役のセクシーな猫系獣人に、謁見の間に入るように促された。
ゆっくりと大襖が開かれ、俺達は部屋の中に入る。
入口から玉座まで伸びる赤い絨毯の左右に、【獣王】の家臣が並んでいる。
象や鹿などの草食系獣人だが【悪徳王】の護衛とは比較にならないほど、猛者のオーラを放っていた。
「ガイロウ殿、久しぶりですな」
まずはゾッドが切り出した。
「よう来なすった!」
【獣王】ガイロウの地を這うような声が響いた。
玉座に座るガイロウの、重量感溢れる巨岩の如き体に圧倒される。
全身を包む黒い剛毛は、下手な斬撃など通さない天然の防具と考えて差支えないだろう。
そして、バッファロー型獣人特有の、肩から首にかけての筋肉の異様な盛り上がりに、圧倒的なパワーを感じる。
玉座から立ち上がれば、身長は三メートルぐらいはあるだろうか。
よく見ると呼気に混じって青い炎が溢れ出でいる。
猛々しい姿はまさに最強の【獣王】に相応しかった。




