危険地帯を突き進もう
王国を出発し、俺達は順調に獣王国への道程を進んでいるように見えた。
しかし、タカーマハラ王国と獣王国は、隣接しているわけではなく、国境を出てから更に長距離の移動をしなければならない。
獣王国への道程は、意図せず無法地帯を突き進む事になる。
盗賊や山賊などは序の口で、ゴブリンや豚鬼、大鬼などのモンスターが跋扈している危険地帯だ。
中でも、とびきり危険なモンスターといえば巨人族だろう。
個体差はあるが、五メートル以上の身長とバカげた筋力で、圧倒的な強さを誇る。
世界最強種である龍も狩り殺す猛者もいるという。
悪夢みたいな状況だが、俺達は今、その巨人族に囲まれているのだ。
「ゾッド! バックで逃げろ!!」
巨大な棍棒や斧を手にした巨人が、何かを叫びながら追ってくる姿は、圧倒的な恐怖である。
巨人が次から次へと現れて行く手を塞ぐ。
運転しているゾッドが、臨機応変に巨人達の隙間を見つけて逃げていたが、次第に攻撃を受ける事が増えてきた。
「私の力で防御シールドを展開するわ」
シノンが乗物の周りにバリアを張ったようだ、
巨人の攻撃は全く威力を感じない。
今なら強引に突っ切れるだろう。
「ゾッド!巨人をふっ飛ばせ! 巨人を⋯⋯ 」
変だな、巨人達が一斉に逃げている。
後ろを振り返ると、二百メートルぐらいの地龍が鎌首をもたげていた。
「逃げろオオォォ――!!」




