43/78
もう一番
マユミの掛け声を聞き終えると、エルダは躊躇なくは組みついてきた。
龍人の優れた身体能力を発揮して、力強く胸と体を押し付けてくる。
確かに凄い膂力だ。
【仙人】の俺と同等の力を感じる。
だが、恵まれた身体能力に頼り過ぎて無駄が多く、逆に投げやすい相手といえる。
まずはエルダを極度の疲労状態にして、正常な判断ができないようにする。
セクハラはその後だ。
エルダは体を密着したまま、必死に俺を土俵外に押し出そうとしている。
俺は瞬時に体を左へ開くと同時に、エルダの背中をはたいて前に落とす。
相撲の決まり手の一つ、はたき込みが綺麗に決まった。
「お前の負けだ」
「もう終わりか⋯⋯ 神は喜んでくれたのか? 」
「俺には分からん、もっとやるか?」
「当たり前だ!」
エルダは満面の笑みを浮かべながら突っ込んできた。




