決着
狂い果てた【悪徳王】は暴力の権化となり突進を繰り返す。
俺は風のように軽やかな歩法で回避する。
狂い果てた男とは対照的な静かな動きだ。
突撃を避けながら【悪徳王】の左脇腹に渾身の右ストレートを叩き込む。
俺の拳には肋骨が折れ、内臓が破裂した感覚が伝わった。
【悪徳王】は錐揉みしながら吹き飛び、激しく地面を転がる。
――やりすぎたか。
口から血を吐き出した【悪徳王】は憤怒の形相で俺を睨む。
ゆっくり立ち上がった体は、まるで進化するように筋肉が隆起して強化された。
「凄いな⋯⋯ 」
思わず呟いてしまった。
こんな奴を半殺しにできるのか――
だが、俺は粛々と【悪徳王】を破壊し続けた。
眼を潰し、腹を裂き、背骨を折る。
攻撃を受ける度に強化された【悪徳王】だったが、次第に体が限界を迎えたようだ。
異様な筋力に耐えられなくなった全身の骨が折れ始めた。
腕も足も、あらぬ方向に曲がり、立つ事もできなくなっている。
「アアアアアアアアアッ!」
狂った男は、叫ぶ事しかできなくなっていた。
【七星神槍】の柄を【悪徳王】のこめかみに叩き込む。
白目を剥いた狂った男は、ゆっくりと倒れていった――




