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逃げる悪徳王
「ガアアアアアアアアッ!」
獅子系獣人の咆哮によって静寂が途切れ、戦いの火蓋が切られた。
知性無き獣と化した獣人達が、闘争本能に突き動かされ、波濤のように押し寄せる。
ユウが犀系獣人の砲撃のような突進を受け、一回転して吹っ飛ぶ。
「ユウ大丈夫かっ!」
「大丈夫です!」
ユウの口から血が流れているのが見える。
俺の視界の端から、狼系獣人が牙を剥き出しにして跳躍してきた。
慌てる事無く眉間に槍を突き刺すと、脳漿が飛び散る。
改めて視線を移すと、ユウが獣人達に囲まれている。
「今助ける!」
「悪徳王を追ってください!」
恥も外聞もなく【悪徳王】が走って逃げているのが見えた。
「必ず、必ず捕まえてください!」
「分かった! 死ぬなよ!」
【七星神槍】によって世界が止まったとさえ感じるほどに加速した俺は【悪徳王】を追う。
すれ違い様に獅子系獣人の喉を【七星神槍】で貫く。
ユウ、生きて帰るぞ――
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