表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/78

虚構の行く末

 引くほど号泣している【英雄】をなだめて話を聞いた。


 「弱いのに何故【英雄】になれたの?」


 「ウゥッ⋯⋯ 、父が軍の最高幹部【元帥】なので、なんでもできるんです」


 ゾッドの家は代々武門の誉れ高い名家として続き、軍の要職を担ってきたそうだ。


 「でも、国民を騙すのは良くないよね?」


 「はい⋯⋯ 、国民に安心して欲しかっただけなんです⋯⋯ 」


 ゾッドが偽英雄になる前、老齢の英雄と勇者が体力の限界で引退したそうだ。


 魔王国や獣王国に対する抑止力が【雷鳴の勇者】と【閃光の勇者】の二人だけになり、国民の間に不安が広がった。


 そこで、ゾッドの父親があの手この手を使い、息子を【英雄】に祭り上げた。


 武門の誉れ高いシェルドルン家は、先祖代々【英雄】を輩出するのが悲願であったからだ。


 いずれ、ゾッドを【英雄】に相応しい実力を身に付けさせるつもりでいたが、ゾッドの生来の気の弱さが災いし、一向に強くならず、現在に至っている。


 「私は地位が欲しかったんじゃない⋯⋯ 」


 ゾッドは次第に泣き止み、真正面から俺を見つめて話をしている。


 「シェルドルン家の人間として、国民のためになりたかった――」


 話をしているとゾッドの心根の良さが伝わってくる。


 「大変だったな、俺は責めないよ⋯⋯ 」


 偽英雄になったのは王国の事情があったということか。


 だがしかし、その体はどういうことだ?


 「でも、その筋肉は何?」


 「せめて強く見えるように、筋トレを頑張りました」


 頑張ったっていうレベルの体じゃない。


 ある種の狂気がなければ作れない体だ。


 狂気がある奴は強くなる。


 「俺の見立てだと、君は強くなると思う」


 【英雄】の雰囲気が変わった。何か思い詰めたような顔をしている。


 「仙人殿!私を弟子にしてくれませんか!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ