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PRIDE

 深夜の湿っぽい森の中を四輪駆動の黒いクラウンで走っている。


 運転席には内閣特務室第三室長の山根。助手席には部下の――名前忘れた。後部座席に俺、白田未来が座っている。


 この山根との出会いが、不思議で驚きの旅の始まりだった。


 ◆◆◆


 この【異世界】に来る前の俺は、警備員として抜群の知名度を誇っていた。道路の交通整理などの警備員ではなく、ボディーガードや身辺警護などの四号警備員としてだ。


 総合格闘技の元世界ミドル級チャンピオンという肩書きと、現役を引退してから身につけた中国武術や古武術で、政治家や芸能人などの顧客から絶大な信頼を積み上げていた。


 俺が二十九才の誕生日を迎えた日に内閣特務室第三室長の山根が警備会社に現れた。


 ――奇妙な仕事の依頼だった。


 契約期間は一年間で報酬は一億円。しかも先払いで五千万という好待遇。断る理由がないだろう。


 ただ仕事内容が解せない。ある特殊な国の国民を守ってくれ、という依頼だった。


 山根が語りだした内容は、理知的な口調に反し、信じられない内容だった。


 曰く――


 『実は日本の歴史と密接に関わる“地図には載っていない国”がある』


 『“地図には載っていない国”から救援要請があった』


 『日本の歴史上、救援要請の度に戦闘能力が高い人間を送りだした。今回は白田未来が候補に挙がっている』


 『“地図には載っていない国”は独自の文化があり、我々の世界とは異なる世界【異世界】に属している』


 ――だそうだ。


 にわかには信じがたいが、山根が嘘をついているようには思えない。


 右手には五千万円が入ったアルミニウム合金製のアタッシュケースを持っている。


 「【異世界】では二週間の研修期間を設けておりますので、ご自分には無理だと判断された場合は、帰還なさっても構いません」


 山根の発言が俺のプライドを刺激した。プロの護衛としてのプライドだ。無理だと判断された場合は?舐めた口をきいてくれる。


 「この依頼、承ります――」


 身辺警護や護衛の仕事に生命の危険は当たり前。

 極限まで練り上げた武術には絶対の自信がある。迷う必要などない。


 一億円稼がせてもらおうか――

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