霊獣召喚
屋敷に戻って大いに惰眠を貪った翌朝。
お気に入りの武器庫に向かう。
二階の半分以上が武器庫なので、暇潰しにはぴったりだ。
使える物は、どんどん使おう。
庫内をウロウロしていたら、高位のマジックアイテムが並んでいる棚に、薄い本を見つけた。
その場違いな本のタイトルは[霊獣召喚]と書いてある。訝しんで手に取り、内容を確かめると、霊獣というペットを召喚するマントラと霊獣の説明が書いてあった。
(とりあえず呼んでみるか⋯⋯ )
まるで日本庭園のような、緑溢れる屋敷の庭で、霊獣召喚のマントラを唱える。
五秒⋯⋯ 十秒⋯⋯ 、何も変わらず、照りつける日射しにきらめく木々を眺めていた。
(ダメか⋯⋯ )
屋敷の中に戻ろうとすると、上空から羽音がバサリバサリと響いて、吹き荒れる風が肌を打った。
振り返ると、薄いピンク色をした、気品を感じさせるペガサスが立っていた。
まるで幻想的な一枚の絵画のような美しさだ。
そのペガサスが首を上下に振っている。
俺を呼んでいるのか――
恐る恐る近づいて頭を撫でる。
近くで見ると、知性を感じさせる瞳と、優しそうな顔立ちをしている。
(乗ってみたいな⋯⋯ )
と、思うと同時にペガサスが足を曲げ背中に乗りやすい体勢になった。
俺がペガサスに跨ると、四枚の翼が力強く羽ばたき、勢い良く空に舞い上がった。




