英雄との親善試合が決まりました
シズさんが気まずそうな顔で屋敷に入ってきた。
訳を聞くと、どうやら国民の間で仙人フィーバーが起きているようだ。
俺が【異世界】に来た時から、国が大々的に仙人来訪を国民に喧伝していたらしい。
そして、昨日の仙人パレードで一気に盛り上がったようだ。
国民も【堕神降臨】を知っているから、救世主的な存在が来て嬉しいのだろう。
だが、問題もあるようで――
堕神討伐の、もう一つの切り札として、王国には英雄や勇者がいる。
その中でも、歴代最強、王国の最高傑作、ともいわれる、
【森羅万象を司る英雄】ゾッド・シェルドルンと、どちらが強いのか?で盛り上がっているそうだ。
「バカ国王も乗り気で、ぜひ親善試合をして欲しいと言っています」
「バカ国王なんて言っていいのか?」
「いいんですよ、バカな父ですから」
シズさんは国王の娘だったのか!
そういう大事な事は先に言えよ⋯⋯
それにしても、親善試合か――
武器は柔らかい素材の木刀や木槍など。魔法や魔術は禁止。純粋な武技を競い合うようだ。
負けたら肩身が狭くなるのは明らかだ。
だが、武器庫の強化系マジックアイテムを使えば楽勝だろうな。
「親善試合やるよ――」
シズさんの目がキラッと光った。
アナタも楽しみにしていたんだね――




