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決戦前の30分
「くっそ勝ったのにこのダメージか」
今大会を支える医療班が騒がしくつげる。
「良しっ秘薬の投与と気功医療、医療魔術と医療魔法全部まで打っ込むぞ!」
「頭部のダメージは気功医療で俺が担当する!」
気功医療系の里の族長が行う。
「肝臓のダメージは魔術で治療を!」
元帝国の医療担当の者も続ける。
「いいか!なんとしても万全の状態で決勝戦に送るぞ!」
「上半身の打撲傷と擦過傷の治療は我々が」
ローディアンのエルフ達が行う。
ダメージを抜く最中、流閣はある男の背中を思い浮かべた。
どんな時も私の前に立ちはだかり、時に試練を、時に助けをくれた戦友よ今こそ決着の時、
別室の休憩所では
「のぉ息子よ」
「んだよ親父ぃ流閣に気功なんざ仕込みやがって」
「まぁアレは正確にはワシの力を貸しただけじゃよ」
「だけじゃよってそんは事言ってヒーポの時はお袋に浮気がバレて折檻された癖に」
「ほっほ」
汗をダラダラ流しながら誤魔化すジジィ
「まぁアンタの寿命が切れる前に息子の晴れ舞台見せてやるよ」
「ほっほまぁ最高の好敵手こそ一番の贈り物じゃろ?」
「感謝してるよ親父」
そして決戦の時間がやって来る。




