Dブロック 第三試合 流閣対ベンガルリン
流閣控え室
「コォ〜…………カッ!!」
流閣は武閣流の型で自身の調子を調べる。
(どこまでやれるか)
ベンガルリン控え室
「フーっんっ」
(ありがてぇなぁアップする時間があるとはよガルリム連邦国に滞在戦士した頃はそんな暇無かったのになぁ)
「帰ってきた武閣流当主!!!流閣その人対伝説の傭兵!!ベンガルリンです!!」
会場がかなり盛り上がる。
両者が入場する。
「君が国技の若当主くんかなるほど良い目をしている君の父上とは一度手合わせをしたがなるほどこれは楽しみだ」
「貴方が伝説の傭兵ベンガルリンですか、父から話は聞いた事があります。」
二人は握手すると
「構えてぇえええ!試合開始!!」
お互い動かず相手の動きを観察する。
(流閣め相手の出方を伺いたいんだろうが目の前のおっさんの方が戦闘の経験値はお前より上だぞ?)
ベンガルリンは左右の肩でフェイントを混ぜながら接近する。
流閣はそれをジッと見ながら構えを変える。
流閣は中腰のまま右手を貫手の構えで大きく引いて左手は守備の構えを作る。
(アレは―)
同じ武閣流の俊樹はその構えを見て流閣の狙いを察する。
武閣流で最も堅実な構えの手槍小手の構え利き手ではない方の手は防御一徹、そして利き手は最短を射抜く武閣流モーセの構え。
「ふむ」
ベンガルリンは流閣の構えが変わったのを見てじっくり攻める肩のフェイントを織り交ぜた攻め方から小刻みに左右にステップを繰り返すスピード特化のスタイルに変える。
ザクザクと不規則なリズムを刻みながら接近する。
瞬間
バチィッ!!
「カポエラか」
ベンガルリンは両手をついて蹴りの支えながら斜めからの回し蹴り繰り出していた。
直ぐに離脱。
(タイミングのずらしもこの上なく上手いが残念ながら流閣はその手の相手との対戦は済ませているぞ)
ベンガルリンのアキレス腱から血が滲み出ていた。
(コレは)
鉄斎はその様子を見て
(そう流閣の左手は防御だけじゃねぇ攻撃の起点にもなるその指は凶器だぜ)
ベンガルリンは数多くのモンスターを想定する
(鎌の指を持ち、その突きは上級魔獣のソレと同じで尚且つ守りは堅い)
ベンガルリンは足を踏みならし
「大丈夫か」
再び攻める。
幾多の攻防を経て
流閣の防御が入りづらい後方下への攻撃。
流閣は足運びの変化でその攻撃のことごとくを防ぐ、凌ぐ。
流閣はベンガルリンの動きを見切り始めた刹那ベンガルリンは突如
「俺の負けだ」
「…………………………へ?」
「見てくれこの脚攻撃した筈の俺の脚もうほとんど動かねぇ正面からの攻撃、目潰し、急所への攻撃その全てコイツには通じなかった。って訳で降参!!」
「はー」
「いやはや」
「傭兵らしいというか」
「もったいねぇ」
「マジか」
会場中の中で一番驚いたのはこの男
「マジですか?」
「あぁアンタは強いよ」
流閣であった。




