Cブロック第二試合 ヒーポ対サノバ
ヒーポ控え室
ヒーポがアップをしてる頃に俺は行った。
「もう怪我はすっかり治ったみたいだなヒーポ」
「鉄斎さんっ!」
「以前より背中の筋肉の搭載量が増えている鍛え込んだな」
「ありがとうございます!」
「相手の対策は?」
「ザノバさんはカウンター使いですからねどうしても僕のパンチは当たらない場面が続くと思いますがコツコツと積み重ねるだけです。」
「そうか、頑張れよ」
ザノバ控え室
ザノバもまた自らの体調を整えていた。
「見える、腕の振りも良い、身体が軽い今日は良いコンディションだ」
「さぁやってまいりました!Cブロック第2試合ヒーポ対ザノバ!あのリベルドに肉薄した若きハードパンチャー対見切りのスペシャリストとの対決圧倒するパワーか、見切りからのカウンターかそれでは両者の入場です!!」
観客席では
「おーセイニヒじゃねぇか」
「あぁ、アンタか」
「なんだ?やっぱ昔からのライバルは気になるか?」
「それもありますがね、俺がむしろ気になるのは対戦相手のザノバの方ですよ」
「へー、ザノバねぇ?」
「ザノバは俺と同じカウンター使いですからね」
「カウンター使いか」
「奴は雷の魔術を持つ俺や風の魔闘士達が使える高速の移動手段を持っていないのに奴に攻撃をあてた者は居ないとされている」
「それはヒーポとの相性は…」
「最悪の筈です」
「まぁ俺も見るしかねぇな」
そして闘技場の中心では
(ザノバさんは一体僕をどう崩すつもりなんだろう)
(彼のパンチは当たれば一気に持っていかれる類の凶器だからな)
「構えてぇええええ!試合開始!!」
ヒーポはピーカブースタイルでゆっくりと左右に振りながら接近する。
対してザノバは左を開手で構える。
「あの手の位置が邪魔だな」
「ヒーポは上背がない分相手の表情が見えづらい」
(気にするな僕のスタイルのまま行くんだ!!)
ヒーポ突進気味に入り込む
右の肩のフェイントを混ぜてザノバの視界の端へダックしそのまま左を乗せて打つ
(オープニングヒット貰ったぁ!)
パン!と小気味良い音と共にヒーポが二の足を踏む。
(今、僕のパンチを打つ前に何かノイズのようなものが)
観客席にいた鉄斎とセイニヒはその様子でわかる
「カウンター、いや、対手に近いなあの技術は」
「知っているのか」
「この魔術がある世界でも人は攻撃する時には必ず呼吸を挟むそしてその呼吸の間に攻撃を入れる事でこちらの攻撃入れるんだが、あの打ち込みの角度は相手を倒すカウンターというより攻撃の芽を潰す類のカウンターだ。
だがヒーポはそれでも止まらないファイターの筈だ」
「ザノバにとってそれが想定してる!」
ヒーポはそのその間接近を試みる。
(ザノバさんからは仕掛けてこない!ならこっちからザノバさんを引きづり出す!)
ヒーポは左右のウィービングを素早く、小刻みに繰り返し、出どころを掴ませないようにザノバに接近する。
ザノバは内心舌打ちをした。
(これで戦法変えてくれりゃあ良かったんだがねしょうがない)
ザノバは開手から拳に切り替えて上下にリズム良くヒーポのウィービングに合わせる。
「ケッ!」
ダダダダダダダダダダっ!
高速で射出される左の連打。
(硬い!これはあの時のリベルドさんの左に似てる!けど、)
ヒーポはその連打をダッキングとウィービングで躱していく。
(左だけなら僕でも躱せる!!)
(成る程、その丸まった体勢は正面からの鉄壁のガードですか)
(僕の距離だ!!あたれー!)
ザノバは右の拳を加速させヒーポの左頬を殴りつける!
「ガッは!」
観客席では
「なんつータイミングで!!」
「ガードが空いた一瞬の隙を躊躇なく刺した!!」
「今のパンチは精神に来る!!」
「これがザノバが俺以上のカウンター使いの理由…あの切れ味の良いカウンター」
「ヒーポやリベルドなんかのハードパンチャーは体の芯に残る身体へのダメージのパンチだがザノバやお前のようなキレるパンチは精神を絶つ」
ヒーポはよろよろとザノバにもたれかかる。
(ふむもう終わりかな?)
ザノバに身体を預けに行きその場で身体を捻りリバーを当てる。
「グっ!!」
(視界の外で仕掛けるとは!)
「ようやくあたった!」
(臓腑が唸ってる)
(このままくっついて連打だ!)
ヒーポは密着状態で連打をザノバに叩き込む!
(コイツっこれ以上この距離でやり合うのはマズイ!)
ザノバは左脚を軸に反転し体制を入れ替える。
「フーフーハーハー」
「ぬぅううう!」
ヒーポはそのまま左右の連打を放つ。
「ヒーポの野郎まだラッシュが出せるのよ!!」
「ヒーポはそのスタミナと決して変わらないマメさが武器だ」
ザノバはガードをキッチリ固めて六撃目で
パチン!
カウンターを入れた。
「カウンター入った!」
(六撃目で合わせるのかよ!)
「だがガード越しのパンチが効いたなヒーポのラッシュは重い腕が先に悲鳴を上げたようだな」
「カウンターに腕力なんて要らない、ハートとタイミングが合えば成立する」
「だがザノバの状態からカウンターなんぞ打てるのか?」
「それは俺も思ってますよでもその一発が打てたらこの試合ザノバの勝ちだ」
ヒーポはそれでもザノバへの攻撃をやめない
不意にザノバはくの字に折れ頭をさらけ出した。
(ザノバさんが崩れた今だ!!)
ギラァ!
(ようやく来たな待ったよお前の渾身の右をよぉ!)
(俺はこの目で全て見切った今だろ?)
(動くだろ?)
(破壊力?殺傷力?そんな贅沢言わねぇよ)
(最短のルートを通れ俺の拳よ)
コツン
ザノバのカウンターはヒーポの顎先を掠めた。
「野郎、打ちやがった」
「なんて綺麗なカウンターだ」
(勝った!!)
ザノバは喜んだのも束の間
「うぉおおおおおお」
ヒーポは崩れる身体を起こし身体ごと突き上げるアッパーをザノバの顎にクリーンヒットさせた。
「あのカウンターを食らって打ち返せるのかよ」
「なんつータフネスだよお前は」
「「ヒーポ」」
こうしてヒーポの勝利が決定した。




