Aブロック 第四試合 リベルド対アリェーナ
「さぁ!やって参りました!!本日の最終戦!!!果たしてこれは一回戦の組み合わせで良いのか!ガルリムの両巨頭が激突します。かたや素手最強!かたや全ストライカーの頂点に立つと目される男!!元チャンプ!!ベルトを保持!そして両雄歴史的な偉業を成し遂げた現役の名ファイアーであります!!ガルリムでは成し得なかった夢のマッチがこのコロシアムで目撃することが出来るのです!!
リベルド・マルチネス!
アリェーナ・ウルツェンコ!
両者入場です!!」
鉄斎がその様子を眺める
「グレンの奴実況気合い入ってんなぁ〜」
流閣が追従する。
「気持ちはわかりますがね」
そんな軽い冗談を交わしていた2人も両者が入った途端に消える。
「あの2人、」
「リベルドさんの強さはこの身で知ってますが、アリェーナさんも圧倒的な強さを」
「今日この試合」
「えぇ間違いなく」
((激戦になる!!))
そんな観客や、実況の声がコロシアム中央には届いていなかった。
「お互い国元で王者だった訳だがこうして合間見えるのは初めてだね」
そう言ってアリェーナが握手を差し出す。
「まぁ私はここ最近王者ではなくなってしまったがね」
そう言ってリベルドも握手に応じる。
「いよいよガルリム連邦国最強の男が決まります!!」
グレンの実況の意気込みにより会場のボルテージがマックスになる。
そして定位置に着く2人それを観客席から観戦してる鉄斎と流閣。
「リベルドはお馴染みのアップライトスタイルか、対するアリェーナはデトロイト・スタイルか」
「あの腕を揺らしてる構えですか?」
「まぁ、俺の知ってるパンチを繰り出すのかはわからねぇんだけどな」
「武器、飛び道具の使用以外全て解禁です。
構えてぇええ!、試合開始ぇえええええ!!!」
アリェーナの腕の振り子の動きが加速する。
そして2人を挟んだコロシアム中央で強烈な破裂音が響く。
「ファーストコンタクトは終わりましたね」
「あぁフリッカーと前蹴り2人のリーチは元から長いそれにだが驚くべきは―」
(あの拳の硬さ以前戦ったカレのような刃物ではなく私と同類の鈍器!)
リベルドも自身の蹴りの感触から鉄斎と同じ感想を抱く。
(俺のパンチに蹴りで寸分の狂いもなく迎撃するとは、遠い間合いじゃ奴が有利なのは確実かならよ)
アリェーナはフリッカーの為に脱力させていた左拳を固めて間合いを詰める。
「詰めるしかねぇよなぁっ!」
「!」
リベルドは蹴りの射程範囲に来た瞬間に蹴り技で迎撃する。
だがアリェーナはそれを前後左右のフットワークで躱す。
通常なら蹴り技は片足で立つ為身動きや咄嗟の反応としては弱い面があり素早く動き回る相手には迂闊に打てないものだがリベルドは関係ないと言わんばかりに多彩な蹴りを放つ。
(これは凄い!こんだけ視界から俺の身体を外してるのにしっかり狙ってやがる)
アリェーナは大きくスウェーバックをし蹴りが伸び切るのを狙う。
(視界か定まりきらない中だと伸びきった足へのカウンターには対処出来ねえだろ!)
アリェーナは左右のフックでリベルドのアキレス腱を挟み潰そうとする。
…が
「ゴッホォ!!」
アリェーナがくの字に折れて後ろに吹っ飛ぶ。
(なんだ?今のは?蹴りが胴体にぶっ刺さりやがった!!)
リベルドはすぐにでは構え直す
「アレは!!」
流閣はその体勢に覚え
「数センチの蹴り込みだ」
(軸足の踵とつま先の詰りの入れ替えと下半身のバネでほんの数センチ、蹴りのリーチを拡張する技だがリベルドは更に踵を上向きにすることで足の付け根を捻り込みやがった!!)
「しかも意識してないところからの奇襲」
「いや、見ろ」
鉄斎達の視線の先には立ち上がるアリェーナだった。
「まさか」
リベルドは思う
(蹴り込みの感触が遠のいていった)
「あの野郎、吹っ飛ぶことで威力を減退させやがった」
鉄斎はニヤリとしながら言う。
「効いた〜後ろに飛んでこの威力はえげつないな」
アリェーナはフリッカーやオーソドックスな構えを辞めてガードを下げる。
「君にはこっちの方が良さそうだな」
リベルドは表情一つ変えずに言う
「君がどんな構えをしようと私は一向に構わない」
四つ脚て行かんばかりの低姿勢でアリェーナは突っ込んだ。
「蹴りの餌食になりますよ!!」
流閣がその様子に声を上げる。
「生粋のストライカーだろう?組み技や寝技に持ち込むとは思えねぇが」
鉄斎が訝しむ。
リベルドは蹴り上げるがアリェーナは回避そしてリベルドの足元で縮み込み。
「まさか!」
鉄斎はその体勢を知っている!
膝のバネを使い身体全体で突き上げるアッパー
鉄斎の予感は現実になった!
(カエルパンチか!!)
流閣は初めて見るそのパンチに驚愕する。
「なんですか!アレは?!分類出来ない!!」
この世界でコレが見られるとは!
リベルドの顎に直撃!!
瞬間リベルドの意識が途切れる。
そして頭が下がったところに打ち下ろしの右!!
返す刀で左のアッパー
そして全体重を乗せた打ち下ろしの右が再びリベルドの顔面を襲う。
「あんなに打たれて合わせられるものなのか?」
リベルドの右のカウンターがアリェーナの顔面にクリーンヒット
そして渾身の蹴り上げがアリェーナの顔面を捉えた。
アリェーナの視界が闇に覆われた。
…………ここは俺は何をしていた
………あっ……そうだ…
アリェーナの朦朧とした意識が一気に覚醒した。
リベルドは不意を突かれて右ストレートがクリーンヒット。
「勝負有り!!」
リベルドは悠然と勝利を収める。
「ついにこの歴史的勝負の幕が降り、リベルド選手に凱歌が上がりました!!そしてリベルドの次の相手はルッソ・ガービンです!!それではみなさんさようなら!」
「あいつチャンプ辞めてから妙にレパートリーが増えてねぇか?」
「でも型破りの方がまだ出てないですから」
「順当に行くとあいつと再戦かぁ〜」
「本日の試合は以上です。明日はBブロックです。お楽しみを!!」




