亡国の魔人
ジジイ回になります。
オオアザ国に突如現れたドラゴン。
巨大なドラゴンは支配されていた。
そう自身の頭の上に座する"王''に
そんな王に刃向かう人間が居た。
「この国に空飛ぶトカゲが来るとはのぉ、人生何があるかわからんの、尖閣や?」
と皺くちゃの腕を組みながら笑う幻斎
「ありゃドラゴンじゃわい齢100超えての現役のアンタに言われたかないわい幻斎。」
自身も70後半だと言うのに衰えを見せない尖閣
「子供達がせっかく橋を繋げてくれようとしてくれてる大人はその帰る場所を守ってやりゃにゃなりませんな」
と照芳が告げる。
「へっへ頼んますよぉ我が国が誇る武神さま」
とガーナが腕をぼきぼき鳴らしながら笑う。
光圀は王宮の前線の陣にて考える
「まぁ事前に調べておいて良かったわ、あの帝国を征服した奴らの事は、まさかファダール家の情報集収能力は亡命後落ちると踏んだが以前健在か…それにしても奴らの意図はなんであろうな…まぁ良い来たのならば迎え撃つのみ!」
「まずはあの飛んどるトカゲを止めんとのぉ」
すると幻斎は手を合わせる。
ドラゴンは動きを止められる。
ドラゴンは不思議だった
元来ドラゴンは魔力の探知能力に秀でていた。
故に魔素黙りや魔力をたっぷりと保有する魔獣のエサを捜すのに苦労はなく、自身を狩ろうする者の力量を見誤る事も無く安全であった。
だが今自身を抑えつけるこの得体の知れない力は魔力とは違うというのを本能的に理解した。
気功奥義『気縛牢』
「トカゲが調子乗ったらいかんぞい年寄り見下ろすなんぞ舐め腐った真似は好かんのう」
幻斎がそのままドラゴンを圧縮する為に気を込める。
ドラゴンは役目を終えた。
そう動かぬ事をわかった自身の主が「ギー」と一鳴きするとドラゴンの背に乗っていたワイバーンに乗り魔人達は降下していった。
「なんじゃあ?ありゃあしかもあの数ほんの数十匹とは何がしたいんじゃあこいつらは?」
と幻斎が首を傾げる。
「ドラゴンの頭から降りたやつがこの群れの長じゃの」
尖閣が王を見ながら答える。
「そうですか、ではガーナ君と武閣流八段以上と照道流九段以上の者で露払いをしましょうかね。あれはお任せします。」
照芳はガーナと共に向かう
「あの大物譲ってくれるとは有難いですわい」
と尖閣も続く
「儂はあのトカゲと引っ付いたるヤモリを抑えとるからのぉ」
鉄斎は手を合わせたまま告げる。
そして気功の里の流派の当主が幻斎を守る。
そしてオオアザ対魔人達の戦いが始まった。
ガーナと対峙したのは、ガーナとほぼ互角の体格を誇る魔人だった。
元はオークだったが王により変異した個体である。
「嬉しいね俺と同じパワータイプかい」
「………俺の一撃を耐えたら名を言ってやろうゴミ」
いきなりオーク魔人は右のパンチを下からガーナに当てる。
「…………あ?効かねぇなぁ……オイ!!」
ガーナは同じように殴り返す。
オーク魔人はそれを受けて少し顔が歪む
「たかがモンスターの名前なんざどうでも良んだよ!!この国に土足で入り込んでテメェ生きて帰れると思うなよ?」
「良いぞ人間!俺の名は―」
ドカンという車の正面衝突のような爆音の後に
「たかが畜生にこれ以上喋らせる訳ねぇだろう?」
怒気のこもった声でガーナが喋る。
オーク魔人は立ち上がる。
ずんずんと近づき二人は至近距離で対面。
両者振りかぶり中央で拳が爆ぜる。
その様子を眺めながら照芳は足を払う。
「ガーナ君は流石ですなぁこの魔人一体一体の単純な戦闘力は六段クラスそれを身体能力で押すとは」
そう言った照芳の足元には魔人の死体がゴロゴロと転がっていた。
「まぁ何匹か尖閣殿に流れてしまいましたがこの程度でなら大丈夫でしょう。」
そしてオオアザ国武芸館に納められている。武閣流と照道流の秘伝書を狙う王。
王は考えた自身のベースが人間の身体が最も近い事にそして人間が戦う中で研磨されていったのが"武"である事に
そして人間よりも圧倒的に優れた魔人が最も効率化された自衛手段である武を身につければその戦力は数倍に跳ね上がり、対人戦では死ににくいと。
せっかく増やした駒を強くする事
そして配下の兵に衣食住を与えられる。
これが王の責務。
野望は土台が整ってこそだ
この胸の中の石が教えてくれる。
「どこ行くんじゃい?」
王は振り返る。
「…………」
「まぁええわい…お前さんこれが狙いかい?王と呼ばれとるそうじゃのぉそれはこいつらが教えてくれたぞい」
そう言って尖閣の顎先の指した先には魔人達の死骸に溢れていた。
「高速で水の球飛ばしてきよる奴や火ぃ吹く奴までおったが動きが洗練されとらんのただの曲芸みたいなもんじゃて」
「………」
王はゆっくりと構えた。
「アンタがその本欲しいなら儂はその胸の石っころでええよ」
オーク魔人の名前はバルクです。




