流閣
―謁見の間―
「よく来たの」
「はっ」
堅っ苦しいのは嫌いなんだよな早く形式儀礼を終わらせてくれ
「主の願いは知っておる許そう。だが主の故郷の秘術を外で漏らす又は人の目に触れることはあってはならん」
まぁこの辺は当たり前だよな
「承知致しました」
「そしてもう一つ主に頼まれて欲しいことがある」
面倒くさいことは無しで頼むぜ
「はっ私めに出来ることでありますならば」
「尖閣!」
「はっ」
「こやつの実力はこの国5本の指に入ると見て良いな」
五本の指ってなんならそこの爺さん相手に実力測って貰っても良いんだがなぁ
「そうですな」
「では罪人流閣の禊の旅の監督を命ずる」
ん?
「はっ…ってどういうことでございますか」
おいおいおいなんだそりゃ
「そこに居る尖閣の子流閣は2年前の比武に誤って死なせてしもうてな謹慎と称してこの城の牢に入っとるのよ」
「はぁ…」
「流閣めが「どうしても私をこの牢から出したくば私より強き人を連れて来て欲しい」そう抜かしおってな で、先程わが国屈指の強さを誇る番兵クリスが宙を舞い負けたそうではないかその者ならばあやつの首に輪を掛けること出来るであろうて」
マジかよ
困り顔の所尖閣が助け船を出した
「ですが皇帝、流閣に会わせてみないことには首を縦には振れますまい」
「そうじゃのではこれから流閣と会えい返事はその後じゃ」
「はっ」
面倒なことになったなぁおい
城の地下深く夜な夜な何かを掘る音が聞こえるその場所には殺めてしまった者への供物として像を掘り続けている、その音の主の名は流閣かつて尖閣をも凌ぐ者と呼ばれた男である。
鉄斎は目の前の光景を疑った
体格は180センチ体系は空手家に近い体軸はしっかりしているみたいだが問題はそこじゃない。
おいおいこいつ素手で像を掘ってやがる。
「流閣よお主はこの牢を出る時が来た」
「皇帝よ私めの罪はまだ贖いきれておりません今暫しの裁きを…」
「ならば巡礼の旅に出よ、人助けをし我が国の武を広めその汚名をそそぐ事こそ償いと知れ。」
「ではかねてより私よりも強き者を連れて来たのですか?」
「ここに居るのが鉄斎かの仙力の里の長幻斎の子じゃ齢18にして全ての流派の気功を吸収した逸材じゃ」
「それはそれはでは私めと立ち会ってはみませんか?」
「皇帝よ言葉を崩すことお許しください。」
「構わんその方が話しやすかろうて」
「良いぜ闘ろうぜ」
「場所はここの上の闘技場で如何ですか?」
「甘ぇな…立会いたいなら今すぐ仕掛けりゃ良いじゃねぇか」
「では、お言葉に甘えて」
すると流閣は鍛え抜かれたであろう指で鉄格子を曲げ、一気に踏み込んで来た
四本の指で貫手をかまして来た!
螺掌流 気装 剛ノ型 「金剛指」
手脚を気功により固くする気功武装に加え、螺掌流の如何なる状況、状態からでも攻撃の体勢に移行する手脚の操作これにより獲得した指の捕獲術である
…おかしいこの技、鉄程の硬度ねらへし折れるんだが、こいつの指は固え
ほう私のモーセ(貫手)を止めますか。
しかも第二関節より先には進ませて貰えない。
武閣流
オオアザの国の統一する直前の戦乱時代に生まれた武術である、武器はいずれ消耗する、だが己の四肢は消耗しない。という理念を元に生まれた経緯を持つこの武術は己が四肢を荒行とも呼べる人体の絶え間ない破壊と再生の繰り返しにより四肢を鉄の硬度以上に硬くする。
その硬くした四肢を戦の中で培った手脚の先端操作により効率的な破壊とダメージの与え方を手に入れたのが武閣流である
現在当主尖閣はバルカザン帝国とジンバルス王国との戦争の折オオアザはジンバルスに寄与する形で尖閣を送りバルカザン帝国の鉄の門を貫き粉砕するという逸話を残している。
人は尖閣をこう呼ぶ破槍と
そんな尖閣を凌ぐ天才が現れた流閣である。
彼は捨て子であったが幼少期より尖閣により才能を見出され4歳の頃から武閣流の修行を始める。
武閣流を習い数々の戦いの中自身の技を止められたのはこれで二度目1度目は師尖閣二度目は目の前の男鉄斎である。
両者は距離を取った。
ここで1人だけ置いて行かれた者がいる皇帝である。
が、皇帝己が無視された事よりもこの2人の決闘を間近に見れる事を歓喜していた。
「まだ闘るかい?お互いの実力はさっきの攻防でわかったはずだが…」
「そうですね…ですが永らく私と対等な者がおりませんでしたからかなり興奮してしまいましてお付き合い願います。」
「やれやれ、だが皇帝の前だぜ?」
「気にするな!存分に闘れい!!」
「ではっ!」
……1時間後
「はぁはっあはぁはぁ」
「満足したかい?」
地に伏しながら流閣は満面の笑みで
「えぇこれで私を縛る者はあなただ」
「えぇ重いわー」
この戦いを間近で見た者がいる皇帝である彼は歓喜こあまり滂沱の涙を出していた
「この幸せよ〜〜!!我は感動した王印を持たすこれで主は世界に旅立てるぞ。して、鉄斎よお主はまず何処の国へ行く?」
「まずはジンバルス王国に行こうかと思います。」
これには訳があった爺の前情報だとジンバルスは美女が多いのだとか、バルカザン帝国はその美女欲しさに戦争仕掛けたという噂も残る程に、その中に傾国の美姫と呼ばれる絶世の美女がいるのだとか。
ニヤニヤが止まらないぜ