バケモノ
帝国の魔導省に勤務しており、
魔学者の権威パーラーは自身の目の前に起こっている事が理解出来なかった。
そう廃棄されたスペンビーの遺体を抱き抱えながら護衛の魔術士達を惨殺する化け物に
「クソッこの化け物め!!」
前衛の魔闘士ケビンが毒づく
「だが、奴の動きは生物として発達していないまだ自身の身体の構造を理解してない」
もう1人の前衛のミトニックが
「それもそうだ!ならば奴が自身の能力に気付く前に殺さなければ!あと少しでチャージされる!それまで遠距離魔術士は魔闘士の援護を」
そういって後衛の遠距離魔術士バクシルが指示を飛ばす。
「よし後三十秒だ」
そういった近距離魔術士のバッカーは自身の短杖に魔力を注ぎ込む。
だがその化け物が目をギョロリと見開き目の前の魔闘士2人組の動きを観察いた。
それを終えると目を数瞬瞑り。
目を見開く
ケビンの水刃脚を紙一重で躱す。
「なんだコイツいきなり俺の動きに合わせ…」
ボヒュンっという音の後にケビンの首が消し飛ぶ。
「ケビン!!」
「先輩!!」
その個体は死体を脚で蹴り回しながら綺麗に椅子を作り935号を座らせた。
その様子に恐怖する人間達。
無理もないつい1時間前まで喋っていた同僚が死に、
死体をゴキリ、バキリ、ベキリと無理やり遺体を壊えられ、椅子がわりにされているのだ。
その異常な光景を見て、一般人であるなら全く揺らがず平坦な感情で見ることなど出来ないだろう。憤怒、混乱、焦燥、憎悪、恐怖
だが歴戦の強者達はその感情を押し殺して攻撃にあたる。
そして化け物は出来立ての椅子に母親を座らせ、
それを背に護衛者達を屠りはじめる。
最初に的になったのはもう1人の魔闘士のミトニックであった。
「この動きスペンビーじゃないこれは人間の……」
数回の攻防の後
スペンビーは裏拳のような物をアッパーの角度でミトニックの顎先から首を吹き飛ばす。
そのまま護衛隊長のバクシルの腹を拳を貫く。
「ぼごぉっ!!」
血を吐きながら
バクシルは自身の杖で化け物を拘束し、
「……今……だ、」
その隙を突き
最大火力の魔術をぶちかますバッカー
至近距離の火炎弾その直径は50センチ程
(このクラスの火炎弾は上級魔獣の魔撃の威力変わらない!いくら化け物といえど全く効かない筈がない)
バクシルは焼け焦げる。辺りは…が化け物無傷。
その場の誰もが凍る。
「ば…馬鹿な」
化け物はゆっくりとバッカーの頭の上に手を乗せ。
慈しむような声で「ギーラ」
頭から潰した。
そのままパーラー博士は攫われた。
唯のほんの一幕である。




