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異世界拳闘道  作者: 泰山仙人
侵略戦争
43/98

休戦の中で


帝国の闇の中で生まれた生物兵器。


事の発端は魔術が確立された時

バルカザン帝国3代目皇帝バージルス・アル・クランシェ3世は言った。

「これで魔獣供やエルフに勝てる。」ではなく「我々は人を超えられる。」と


そして来るべき来訪者に備えて世界の覇者になる為のプランとして

人体改造実験が行われた。


魔術それは一部の人間が魔素の蓄積により内臓の一部が変異した者が行使する力

やがては全ての人間が魔力を保有するだろうとごく一部の魔学者達が推察した時に帝国にいる1人の天才魔学者がある発見をした。


魔学者兼バルカザン帝国皇帝バージルス・アル・クランシェ3世その人である。


彼は人類の可能性を推察するのではなく過去から独自の実験と検証を繰り返し今の人類の成り立ちを知っていた。


異常ともいえるエルフの魔力保有量

魔素の性質

魔獣達の生体構造

上級魔獣と下級魔獣の違い

魔素の断裂層 (鎖国に近いオオアザは見送られた)

原獣人ギムルが発見された地層周り

大陸毎にあるいくつかの魔素溜まり

そしてこの星の地層から調べる歴史


そして彼は1つの結論に辿り着く。

()()()()()()奴らめこの世界にこんなモノを蒔いたか」


そして人類の最高頭脳を持つ彼がこの世界を去ってから現在までに帝国は他国より先んじて実験を繰り返していた。

人体実験それは上級魔獣から魔素の生成してる臓器を人間に移し替える外道の類の実験だった。


3世が存命中には誰一人として成功例は現れなかったが、現代1人だけ成功例を出すそれはポール将軍であった。彼は元は魔闘士クラスの魔力保有量だったが、魔撃の発現が確認されている上級魔獣の魔力生成臓器(マジック・オーガン)を移植することによりエルフに匹敵する魔力保有量を持つに至った。そしてそれだけではなく元は火と風のみの魔術属性の彼の魔術属性が変異し風は雷に、火はマグマに変わった。


そのポールに最新の魔道具を装備させ実験がてらオオアザの国に侵攻させたが戦死。


この事実に慄く暇は帝国には無かった。

そう、彼等は更なる危機が迫る。空間転移の魔導塔を阻害する為にファダール家の亡命その行き先がオオアザだと判明。

オオアザを攻め滅ぼすないしは完全なる世界からの隔離の必要が出たのだ、もともと友好な関係では無かった両国であり、外交も一切行っていない国に対話なんて出来るのか?

そして魔獣達さえも諸共しないこの国に勝てるのか?


…という現状にパークマン達フールズは頭を抱えていた。


伯爵のゲイナーが口を開く

「…そう、今オオアザ側が世界に喧伝しない限り魔導塔の真の意味を全世界に知られる事はない。そして知られたとしても防ぐ手立てがない。なら良いオオアザは放っておけば良い…」


魔導省長官ヒューズがゲイナーの言葉を引き継ぐ

「だがファダール家があの魔術式の写しを保持している上にあの国に現時点での最新の技術がもたらされた事になる!!つまりは!!」


タックスが言う。

「あの島国がこの世界アナルガルドのブラックボックスになったのじゃ」


バルカザン帝国参謀長カルマーニがオオアザの戦闘力を見積もる。

「現状オオアザ国側からこちらに攻める事はありません、彼等は長年の鎖国状態によりこのルーベラナ大陸の現状や細やかな地形や各国家の力関係などの情報は皆無です。それに魔の群島と呼ばれる天然由来の関所がある限り、兵は削られまともには戦えません。」


パークマンは眉間の皺をほぐしながら

「ではこちらから攻める場合は?」


カルマーニは続ける。

「こちらからもほぼ同じ事が言えます。あちらの細やかな地形や海流の流れまでは把握出来ません。そして海域に生息している大型の魔獣を捕獲してナエルから魔獣師達の調教を経て前回の偵察を行いました。比較的簡単に魔の群島という関所は抜けられますが、前回の偵察により全滅し再度の侵攻には早くても5年の歳月が掛かります。

ですが今後、魔導塔によってはこの問題も解消されます。

そして肝心な相手の戦力ですが…

あの島国の個々の戦闘力は我々を遥かに凌ぎます。そして我が軍の最強格のポール将軍が戦死した事がより大きな証左となりましょう。」


一同がざわめく


パークマンが怒鳴る。

「静粛に!!そして今回の実験により得られた収穫は空間転移の魔術は成功した事そしてオオアザの戦力の一端を知ることが出来た更には、ファダール家をあの島国に閉じ込められた事だ。」


ルーナが頷き言葉を足す。

「現在オオアザ国からの入国審査の段階で逐一報告が入るようになっています。」


パークマンが最後に締める。

「今後はオオアザ国の動向に目を光らせつつ()()()()()を進めよ、そして来るべき時に備えねば成らぬ。」


そう帝国にはこのくらいしか打つ手がない中


オオアザの戦帝は次の一手を打ち出した。


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