両陣営
鉄斎は今居るメンツに役割を振る。
「レナはリンキーと仲良くしてあげて、流閣はレナの護衛俺はセリナを引き込む後他の奴らはここでノびてる三十路がやる」
1日後
鉄斎不在の中流閣が仕切りで会議が始まる。
「えー鉄斎さんは居ないのでまずは報告からレナから」
「リンキーとの仲直り出来た、オオアザにも与力してくれるって」
「じゃあニーカさん」
「えーっと次男のワグルスは帝国側に付いたみたいですね、それに次女のユーベルも最新の魔術式の提供の話もあって帝国側みたいですね、三男のバーリーは今の所どちらに付いた様子はなく四男のカールは家長を決める候補から離脱を表明しました。そしてセリナさんは…」
バン!!とドアの開く音がと同時に鉄斎が来る。
「安心しな、セリナはこっちに付く!!中々の強敵だったが見事堕としたぜ!!」
鉄斎肌をツヤツヤとさせながら答える。
そして大勢も決まったと思われた翌日。
鉄斎は何か勘付いたように呟く。
「来たな」
次男ワグルス が鉄斎に奇襲を仕掛けて来た。
「俺がこの一族を率いなければ明日は無いと言うのに島国のオオアザと結ぶなど兄者め!姉上も貴様に手篭めにされたようだ!!貴様を殺す。」
鉄斎は不敵に笑いながら告げる。
「手篭めっていう言い回しは違ぇだろ?それに俺を殺す?無理だろうだってよ…」
すると一閃。
鉄斎に向かってワグルスの蹴りが飛ぶも
鉄斎これを側面にズラす
螺掌流 受ノ型 「流盾」
戻す脚を捕まえ、抑える。
螺掌流 気遼 柔ノ型 「点穴」
中国武術の擒拿術の経穴を突く点穴法に分類される技から先代螺掌流当主が開発したものこれを鉄斎は気功の里の医療術と組み合わせより確実に点穴の効果を上げる。
「老若男女問わず人を殺す事に特化した暗殺術が純粋に強者を倒す為に培われた武術に勝てるわけねぇだろぅ?」
ワグルスはそれでも鉄斎に攻撃を続ける。
(点穴を突いたんだぞ?…体質か?それとも暗殺一家の特殊訓練なんてオチじゃねぇだろうな)
「上等じゃねぇかよ♡」
だがパンっという効果音と共にこの奇襲は唐突に終わりを告げた。
ワグルスは気を失い倒れる、
すぐ黒装束の面々に連行される。
「ワグルス 兄さんは家長の立候補権を剥奪、現在表明しているのはリンキー兄さん、バーリー兄さん、ユーベルか…セリナ姉さんが、辞退したのは予想外だけどこのままだと母さんの思惑通りに進まないなぁ」
鉄斎はその男に聴く
「アンタ、カールかい?」
「ふふっそうだよ僕がカールそして母さんの傀儡だよ」
カールは答える。
「カール今回の騒動全て母親が仕組んだのか?」
カールは微笑んで
「母さんは帝国の貴族の娘だったからね、オオアザ派に傾いた父さんの事は疎ましかったはずだけど殺してないよ、でも母さんにとって今回の騒動は渡に船だったみたい。」
鉄斎は警戒しながらも自身が把握していない情報を推理していく、
(先代のファダールが急逝した所から始まるこのお家騒動、先代の死因は突然死だが毒物の類ではなく、突発的なもの、ナエルの国の指導者が病により管理の手を離れている状態、そして勘当されたはずのレナを引き込んでまで、門外漢である俺たちオオアザ側の人間がこの一件に食いついたこの急な展開に誰が困る?誰が付け入る?誰が喜ぶ?そしてこの入り組んだ構造が浮き彫りになる?……そして帝国自体が送り込んだ人間が居ない、帝国側の狙いは果たしてこの一家だけなのか?そもそも盗賊国ナエル全体のクライアントがバルカザン帝国だ。だがファダール家は暗殺業の為に一歩引いた立場にいれた筈……この騒動から始まったとしたら……)
「そういう事か、この騒動の黒幕は帝国とアンタらの呼ぶ所の頭領が作ったのか、そしてリンキーがオオアザの皇帝を頼って俺たちとレナを送り込んだ。それにしてもなんでテメェは俺たちがほんの少ししか会っていない母親の経歴まで語った?」
カールは笑顔を貼り付けたまま
「ワグルス兄さんの粗相をしたからねお詫びの意味も込めてね。暗殺稼業は嫌われやすいからね、いい関係はどことも作っときたいんだよ」
その喋る様子を観察しながら
(この男の狙いがわからない、まぁ良い情報の擦り合わせからだな)
そのまま鉄斎はニーカ達の部屋へと戻っていった。




