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異世界拳闘道  作者: 泰山仙人
ネール闘技場トーナメント編
27/98

Throne usurped

日も差さない早朝ネール闘技場で1人の男がその闘技場を外から眺めていた。


リベルド・ナルチネスこの闘技場の王

「チャンピオンでも物思いにふけるのかい?」


リベルドは人影に気づく

「傷はもう良いのかね?」


()は答える。

「おかげさまで体調は万全だよそっちこそヒーポ戦での右足首と流閣戦での傷は?」


リベルドは淡々と答える。

「問題無い回復している。」


「今日の試合楽しみにしている」


リベルドは微笑み告げる。

「出し惜しみはするなよ鉄斎」


鉄斎は振り返ることなく宿の方角へ向かう。

「あぁ試合の時に死のうが壊れようが恨みっこなしだ。」


朝日が昇ると同時に2人は振り返ることなく去っていった。


数時間後

リベルドはアップを済ませ闘技場に向かう。

(鉄斎、君ならばあるいば私の全てを引き出してくれるかもしれないな)


控え室から鉄斎も闘技場へ向かう。

「じゃあ行ってくる」


闘技場に向かいながら鉄斎は感覚をピリピリと研ぎ澄ましていた。

(この緊張感と期待感が同時に込み上げてくるこの感覚前世の地下トーナメントの決勝以来だ、それに前世の対戦は体質的な強者だったが今回の相手の方が前世より格段に上勝てるかもわからねぇ)

「まぁせいぜい楽しもうじゃないの」


実況「とうとう、やって参りました。カース評議会議長決定トーナメントの決勝戦が!!このネール闘技場の絶対王者リベルド・ナルチネスに挑むのは、雷光のスピードファイターセイニヒを下し、人類では勝てないとされる原獣人ギムルを破り数々の下馬評を覆して来た男、オオアザの国出身の闘技者、その名も鉄斎!!」


歓声が過去最大に上がる。


「鉄斎さん優勝ですよー!!」

ニーカが叫び


「あれが鉄斎さんかぁ」

ヒーポは感心し、


「アンタには借りがあるからな負けてもらっちゃ困るぜ」

セイニヒが呟き、


「果たしてこの勝負どうなるかの」

尖閣が見守り、


「いえ師匠、鉄斎さんは負けませんよ。」

流閣が師匠に意見し、


コクコク

レナが横で追従する。


そして……ジーっとこの様子を眺めるギムル。


観客を流し見て思う。

(この国に来て知り合いも増えたもんだ)


レフェリーが試合中央に控え、俺らに呼びかける。

「この闘技場で俺がやる役割ははじめと終わりの合図だけだ、だからこそここネール闘技場の六万人の立会人代表として見届けよう!!準備はいいな!!構えてぇええ」


リベルドはアップ・ライトの構えではなくガードを下ろした攻撃特化の前傾姿勢で、

鉄斎は両手を脱力させたまま突き出す構えを取る。


試合開始(はじめぇえええ)!!」


リベルドは開始早々に全力のラッシュを放つ。


観客席の流閣は目を見開く

(私の時より数段速い!!)


だが鉄斎動じず、

(いきなり()()()

螺掌流 気操 受ノ型 「廻し如来」

全て弾き逸らして行く。


リベルドはやはりといった風情でラッシュから即座に左のハイキックに切り替える。


鉄斎は

(拳の間合いから即座に蹴りの間合い?)


リベルドは罠を張った最初の前傾姿勢から重心が前だと()()()()()()()()に速攻のラッシュも拳の軽さを感じさせない為に


(野郎チャンプのクセに偉く泥くせえ技術持ってんのな)

だが鉄斎これをミリ単位で回避

螺掌流 「幽体捌き」


リベルド蹴りぬく中で

(この蹴りの感触、視覚との違和感、極限のラインを知っているのか。)


鉄斎はそのまま左ハイを繰り出した状態のリベルドの間合いに入り組み着く

「これで蹴りは潰したぜ?」

(さっきの重心の誤魔化しはこれでナシだ)

「問題無い」

リベルドはそのまま肘下ろしを繰り出す。


鉄斎はそのまま右へ体を捌いてからリベルドの腰を抑え脚を苅る。


螺掌流 気闘 柔ノ型 「大蛇絡み」

合気道で下段刈りに相当する重心の()()()()()が肝になる技であり膝の入り抜き、摺り足の速さ、脚を置くポイント、自身の上体姿勢を経て技となる。

柔ノ型は基本崩しから入るものが多いがこの技は崩し抜きでカウンターの様に使える。


(私に対する皮肉かね)

リベルドは頭をガードしながらネックスプリングの要領で後方へ飛ぶ!!


鉄斎は口笛を吹く

「ヒュ〜♪」

(野郎二メートルはあるあの巨体で体操選手みたいな身のこなししやがって)


2人はジリジリと半周しながらお互いがお互いを推し量る。

鉄斎は前世の対戦相手の中から

リベルドは闘技場の対戦相手の中から


鉄斎はリベルドの呼吸から

(奴はオールレンジで高い威力の打撃技を持ってるそれを効果的に打つ術を持ってる、おまけにサブミッション対策もそれなりにある)


リベルドは鉄斎の動作を観察()ながら

(彼は恐らく組み技系が主体なのだろう、だが私の攻撃をことごとく撃ち落としたのといい打撃系も熟知しているギムル戦が良い例だ)



(まだ理詰めの方のスタイルを体験して無いからな)

そう考えにじり寄ろうとしたところで


リベルドはアップライトに構えた。

(彼の狙いは概ねわかった)


鉄斎は構えを解き悠然とリベルドの間合いに近づく


リベルドの左ローが三日月を描く。


鉄斎は

(ここから先がアンタの射程距離って事かい)


鉄斎はそれ目にしても進んだ


リベルド左のミドルキック

螺掌流 「幽体捌き」

だがリベルドはこれを狙っていた。

左ミドルの軌道を止め前蹴りの要領で瞬間足を刺す様に鉄斎の水月に綺麗に刺さった


ドン!


鉄斎はくの字に折れ曲がる。

「!!!??…ゴッホぉ!、」

(クソっまんまと嵌められた!野郎軸足の移動でほんの数センチの打撃を増やしやがった!!)


鉄斎は思わずバックステップで回避するがリベルドここが正気とノーガードで突っ込む。


次々と繰り出されるラッシュに鉄斎は防戦一方になる。

螺掌流 受ノ型 「流盾」

(野郎!ここが勝負と言わんばかりに正確に急所全部を襲ってきやがる)


リベルドは冷静に鉄斎の捌きが鈍くなっていることを拳の感触で確かめながらも手を緩めず攻撃を続ける。

(君のその防御は私のパンチを側面から力を加えることでクリーンヒットを逸らしているのか素晴らしい技術だ、だが)


鉄斎の腹部に強烈な痛みが襲う、

「グッ」

リベルドは肝臓打ちを見事に当てていた。

(あくまでストレート系のパンチだけだフック系には目は反応出来ても()()()()()()反応出来ない。)



鉄斎は脚が止まりつつあることを悟る。

(ボディ二発で脚が止まりかけるのかよ!!)


リベルドは容赦なく止まりかけている鉄斎の脚をローで壊しに行く。


ローの二発確実壊さんとリベルドが振り抜いたその時に起こった。


リベルドが勝手に体勢が崩れた。


そこは鉄斎はカウンターを合わせる。

螺掌流 気闘 剛ノ型 「螺掌底・極」


リベルドの胴体に直撃する。

ベコン!!

「!!?」


追撃しようとする鉄斎を遠ざける為にリベルドは即座に微かに反応がある左脚で前蹴りを放つ。


螺掌流 「幽体捌き」

すり抜ける。

鉄斎は蹴り抜いた左脚の太もも裏を抑えた途端にリベルドが蹴り上がる様に宙を舞う。


リベルドはここで先程の自身の体勢が崩れた原因に気づく。

(そうかこれで私は()()()()()()


螺掌流 気操 柔ノ型 (いただき)乱流身(らんるしん)

人触れで相手を自身の作った気の乱気流とも呼べる気の流れに乗せて至る所に螺掌流の捻る衝撃を身体の中に即座に浸透させる事で崩し乱し平衡感覚を奪い去るそして相手が天と地の境目すら無い一瞬の混乱鉄斎が異世界に転生して現在螺掌流 気操柔ノ型 に最も高い位置に存在する技である。


リベルドが頭から落ちる過程

頭の後ろに手を添え最悪事態を回避しようとする過程でそれは起こる、

(なんだこの手は?)


リベルドが崩される過程で鉄斎は側面に滑り込む様に座り技に移行

螺掌流 剛ノ型 気闘 「螺掌底・座」


頭部に螺掌底を上乗せされた衝撃が襲う、

ギュルルルルルル!

いかに屈強といえど失神は必須王者が陥落した瞬間であった。


「勝負有り!!!」


鉄斎は静かに立ち上がり拳を振り上げる。


「「「おおおおおおおおおお!!!」」」


観客の歓声が上がる。


セイニヒは呟く、

「本気かよ」


ヒーポは興奮した様子で、

「すごいですね!!あのチャンピオンに勝つなんて!!」


尖閣は目を細め、

「あやつの倅は強いの」


流閣は当然の様に頷き

「当然ですよ、鉄斎さんですから。」


レナはそんな流閣に寄り添い

「ホント流閣の言う通り」


「「「「「「喋れたの!!!」」」」」」


一同が別の方で驚いた。



こうしてカース評議会議長選挙トーナメントは幕を降ろした。












ネール闘技場編は後日談を入れて終了です。

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