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異世界拳闘道  作者: 泰山仙人
ネール闘技場トーナメント編
23/98

Sublimation

驚異的な瞬殺劇の五日後


「よぉ流閣―…何があった?」


流閣の雰囲気が違うそれにあの表情何があった?


「師匠から最後の奥義の伝授と武閣流現当主として技の新しい可能性の模索を行なってました。」


鉄斎はその様子を見ながら

「その表情を見ると上手くいったみたいだな」


流閣は肩をすくませ

「さぁ?それは見てのお楽しみですかね」


「そうか楽しみにしてるよ、あとレナが寂しがってたぞ」


「それは申し訳ないことしたかな」

と言ったのも手遅れ流閣はやらかしたという表情をした瞬間に背後から流閣を抱きしめるレナ。


(このまま居ても野暮なだけかな)

鉄斎は一人観客席に向かった。


ニーカは売店で買ったであろう食べ物をバクバク食ってる。


鉄斎はため息をつきながら

「お前なぉ太るぞぉ」


ニーカはケロッと答えた。

「大丈夫ですこの所鉄斎さんと流閣さんのおかげで大儲けなのでぶっちゃけ後50年以上遊んで暮らせます。」


鉄斎は手を振りながら

「いやいや答えになってないから」


ニーカは食べながら鉄斎に聞く

「流閣さんはあのチャンプに勝てますかねぇ?」


鉄斎は首を捻りながら答える

「わからん以前の流閣なら負けてた可能性が高かったがヤツは今も変化してるからなぁなんとも言えねぇ」


チャンプのリベルドが入場する。


鉄斎はその姿を見て眉をひそめる。

(ありゃ仕上がってるな、ヒーポ戦でのダメージはほぼほぼ抜けてるな)


流閣も入場し両者が揃う。


リベルドが流閣に喋りかける。

「君と会うのは初めてだなジェイク戦と君の師匠との試合を見る限りではかなりの使い手だね楽しみだよ。」

(とは言っても()()()()が出る程では無いだろうが)



流閣はそれに対して

「チャンプである貴方に覚えていただけるとは光栄ですがあの頃の私より今の私は()()()()今日はそれをお見せしますよ。」

(とは言ってもまだ練度が低い実戦でどこまで使えるか)


レフェリーが中央に構え

「準備はいいな?それでは構えてぇえええ!試合開始(はじめぇえええ)!!」


流閣は以前と違い貫手のみを備えたものではなく右に貫手、左は手刀

一方リベルドはアップライトに構え右脚を上げている。


流閣がジリジリとリベルドの脚の射程距離に近づく。


突如激しい破裂音と共に流閣つま先の目の前に半円が描かれる。


流閣が踏み込む!

リベルドは垂直に踵落としを繰り出す。

流閣はそれを受け継いだ"破槍"で真っ向から勝負する。


闘技城に少しの血が飛び散る。


飛び散ったのはリベルドの踵から。


打ち勝ったのは"破槍"。


「ほう私が血を流すとは」


「一つ目は破槍を昇華させたことそしてもう一つはコレだぁ!!」


流閣はリベルドの右脚のアキレス腱に向かって手刀を当てる


(これはマズイ!)


瞬間リベルドは左足の軸足操作によりアキレス腱から太腿側面で受ける。


鮮血が飛び散る!!


「私の手により戦発祥の武閣流は打撃技である手刀や足刀を斬撃技まで昇華させた!!」


「この出血具合からあながちハッタリでは無いようだが」


突如リベルドが肘打ちによる攻撃を流閣は腕で防ぐ


「攻撃でしか刃物として機能しないようだ」


「ご明察」

事実流閣の斬手刀と斬足刀は攻撃の加速を利用してより鋭利になる為ノンスピードのガードでは刃物たりえない。


そしてリベルドが攻勢に出る

流閣これを的確に防ぐもダメージは蓄積されていく。


鉄斎は観客席からその様子を眺め

「リベルドは少しずつ流閣の防御を上からでも同じ箇所に当てている」


ニーカは飯を食べ終え試合を観戦している

「じゃあここまだと流閣さんの防御が崩れるってことですか?」


鉄斎は首を横に振る

「いや流閣は防御の中に攻撃を織り交ぜてるよ」

(そもそも流閣の武術は己の四肢武器とするものそれを完成させた流閣の四肢はそうそう壊れねぇ)


リベルド手脚が火傷のような感覚に襲われる。

(なんだ?このヒリヒリする感覚は)


瞬間流閣は破槍を放つ。

リベルド大きくバックステップし距離を取りながらも蹴りの構えを取る。

そうして気づく自身の変化に

「これは!!」

(手脚から血が出ている!いったいいつの間に?)


流閣の指は血で染まっていた。

「ようやく掴めたこの感覚」


流閣が修行の際手に入れた三つの要素。

1,打撃技の斬撃技への昇華

2,破槍の進化

3,そして自身のピンチ力を攻防に織り交ぜる。


これらを複合する事で武閣流は天才流閣の手により飛躍する。


その様子を見てリベルド、鉄斎は思う

「全身に鋭い牙を備えた様だと」


だがリベルド怯まず攻める。

(なんてことはないへし折るだけだ)


流閣は斬足刀で回し蹴りを放つ。

リベルドも後ろ回し蹴りで応戦する。


バギィ!!


リベルドは脚から血を流し、

流閣ら脚が腫れ上がる。


「切れる=無敵ではない」

リベルドが言い放つ。


ニーカが首を傾げる

「どういう事ですか、鉄斎さん」


鉄斎は答える。

「どんな名刀でも幾たびも打ち合えばやがて刃がこぼれ最後はへし折れる。恐らくリベルドは自身の手脚をハンマーに見立てて流閣の刃を潰すってことだろう。」


リベルドは流閣を強者と認めた。

(流閣)は強い本来切れ味持たないハズの人の手脚を刃物にまで昇華させた。こんな相手はそうそういないだろう、相手に気遣い防衛の為に淡々とこなす作業にも飽き飽きしていた所だ。そろそろ王者の座を奪ったあの頃の自分に戻るのも悪くない。)


リベルドは冷静に己の中の枷を外す。


解説「あのフォームは!!!!」


実況「どうされました?ハーシーさん」


解説「リベルドが本気を出したましたアップライトに構えたあの姿は人を殺しかねないその攻撃力にセーブを掛けるためあのノーガードの前傾姿勢こそリベルド本来の姿!」


実況「つまり今まで本気でなかったと?」


解説「いえ、恐らく勝負の範疇では全力だったんでしょうですがあの構えは相手が()()()()()()()()()()()()()()()つまりは生殺の領域での戦いということになります。」


リベルドが流閣に襲いかかる

今まで洗練されていた打撃フォームをかなぐり捨て不規則にそしてその打撃は全て急所を狙った攻撃。


流閣は先程のリベルドとは打って変わったこの姿に戸惑いながらも防ぐ

(まるで横殴りの暴風雨の様だソレが上下左右斜めから襲いかかってくる。)


リベルドの攻撃を凌ぎながら流閣は指裂きを混ぜようとするものの不規則な分対処が遅れるそしてその遅れた隙を突かれ打撃が入る。


ゴッ!!

ビキキィ!


(肋骨下ヒビ二本入った!)


リベルドはそれでも追撃の手を緩めない。


鉄斎は告げる

「相手になってない」


ニーカは興奮した様子で聴きかえす

「でも、流閣さんは現武閣流の当主ですよ!!そんな簡単に」


鉄斎が顎をしゃくり試合を見るように促しながら答える。

「攻撃も防御も高等技術の応酬だそれでも流閣の奴は指でリベルドにダメージを与えようと攻勢に出ようとすらしている。それでも結果はあの状況残された手は僅かそれでひっくり返せればいいが」


追い詰められた流閣だがその闘志は萎えること無く勝利のみ求め考えていた。


リベルドは自身の手脚から伝わる感触が流閣の防御を破りつつある事を告げる。

(骨の軋む感触このまま打てば彼の本体に容易に届くだろうそれでも彼は諦めない私はあの目をした人間を知っている!)


流閣は歯を食いしばりながらその時が来るまで凌ぐ

(全身か痛い四肢を鍛え上げた時の荒業よりも痛く響く)

流閣は攻撃を凌ぎながらも相手の隙を待つ。


ぐらりと流閣が顔を出す。


そこに渾身の打ち下ろしを狙うリベルド

(とどめだ!)


流閣の目が光る

(来たぁこのタイミングを逃すともう勝機はない!)

左肩でいなし右の破槍を腹下から潜り込ませ放つ

がリベルドこれをパーリングで落とす。


そのままリベルドがスクリューブロウを流閣の顔面に当てて流閣の意識が途絶えた。


「勝負あり!!」


ニーカ残念そうに呟く

「流閣さん負けちゃいましたね。」


鉄斎は肯定するも

「だが十分に化けたさ。」


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