Inheritance
ヒーポとリベルドの試合の翌日
「リベルドのあの軌道修正はさすがだなキャリアの差がモロに出たな」
鉄斎の解釈に流閣も同意する
「特にあの回し蹴りからの顎先への蹴りボディコントロールが異常に上手い」
「次はお前だが流閣対戦相手ありゃ強えぞ」
「よく知ってますよあの戦い方は」
試合当日
流閣は控え室でコンセントレーションを高めていた。
私の相手間違いなくあの人だでも何故あの人が?
悩むのは後だまずは全力で当たるのみ。
入場口の前に立ち
「よぉ流閣セカンドに付いていてやるぜ」
「ありがとうございます。」
試合開始直前に相見える2人
「お久しぶりでございます。師匠」
「なんじゃ知ってたんかい、この覆面熱くてのぉ」
覆面を取ったその人物は現武閣流師範尖閣である。
「まぁ良い試合ぞ」
「今は詳しくは聞きませんよ」
実況席では、
実況「覆面の下はおじいちゃんでしたね」
解説「あの体格や足運びからみても老人とは思いませんでしたね。」
実況「…で誰です?あの人」
解説「ネール闘技者ではないでしょうね」
実況「おっと、ここで情報が入りました先程まで覆面を被っていた人物は流閣選手の師匠とのことです。」
解説「流閣選手の師匠ですかなら予選での実力も頷けますね」
実況「さぁ師弟対決はどのような結末を迎えるのかまもなく試合開始です」
レフェリーがコールする。
「構えてぇええ!!試合開始」
尖閣は早速仕掛けた。
(どれどれこの数ヶ月間の成長ぶりを見せてもらおうかのう)
尖閣は貫手のモーションから入る
流閣は驚愕する
(破槍!!)
尖閣の破槍 対 流閣のモーセ(貫手)が正面から衝突する。
ガァァン!!
素手同士ではありえない効果音が場内に響き渡るまるで金属音のような音が。
「貫手の稽古は怠っておらんようだの?」
「えぇ力を入れている技の一つですから」
尖閣は左手を前にする構えを取り
「ならばはこいつはどうかの?」
武閣流 八銀槌
片手で八つの拳の形に変えながら相手の防御を崩していく突き技
流閣は感嘆する
(流石はお師匠ならば私もこの数ヶ月間の成果を!!)
試合を観ながら鉄斎も
「見せてやれ流閣お前はこの数ヶ月間誰と一緒に居たのかを」
流閣は左手でピースのような形を作り尖閣の肘の内側に向かって指を走らせる。
武閣流 我流 二指剥ぎ
像を指で掘る際に木の芽を読み切る細やかな指の感覚と綺麗に剥ぎ取る感覚をオーガ戦と鉄斎との模擬戦で実践に使えるレベルまで昇華した技である。
尖閣の肘から血が噴き出る
「ほうなかなかいい技じゃなじゃがこの程度の出血くらいでは左手を封じたとは言えんな」
そう言って尖閣は肘を筋肉を締めて出血を止めたそのまま覆面できつく縛り左手を難なく動かす。
「手技はワシより上かなら脚技どうかの?」
尖閣踏み込むよりも前に流閣は間合いを潰す。
「師匠なぜあなたの土俵に付き合わなければならないのですか?」
「……ふっ」
右膝蹴りを流閣の鳩尾目掛けて蹴り込む
だが流閣は身体を左斜め前に捌きそのモーションの中で掌底を尖閣の顎にクリーンヒットさせる。
「脚技を使わせず手技のみの選択肢を相手に強いるのも一つの正解じゃな」
尖閣は大きく息を吐き呼吸を整える。
だがこの隙を突くことは流閣には出来なかった否隙などなかったかけらほども
「我が異名を取った,"破槍"これを打ち破れ流閣よ、武閣流の先をワシに見せてみろ」
鉄斎は冷静にこの状況を見守る
(わかってるな流閣この尖閣の意図を、超えろ先代を)
流閣は右手の貫手の形を変える。
(思い出せあの感覚を手の形はこう、構えはこうそして思い描く姿はコレだ。)
二つの貫手が交差した。
衝突事故のような音の後
尖閣の指がひしゃげていた。
それを尖閣が眺めた後おもむろに
「流閣!!」
「はい!」
「これよりお前が武閣流の当主じゃ、そして我が異名“破槍”本日よりお前が名乗れ」
「承りました。」
「審判さんや」
「はい?」
「棄権する」
両者退場した後
「これで肩の荷が降りたわい」
「師匠どうです一献」
「おう祝い酒じゃ今日はとことん飲むぞ!」
「武閣流のお二人さん」
「「あぁ鉄斎殿」」
鉄斎は懐からあるものを取り出す
「ほらコレ」
「色街の無料券」
「鉄斎殿、恩に着ます」
その後2人は闘技場の外で酒を呑みに行き、色街に繰り出し多いに夜を満喫した。




