王者から見た者
マニマニの魔撃の水は正確にいうと粘液を水操作で自在に操っています
ネール闘技場の絶対王者リベルドは流閣対ジェイクの試合を眺めていた
「ほぅジェイクを下すか私に挑むのはセイニヒが先だと思ったが案外彼かもしれないな」
「君がそこまで言うほどの相手かねリベルド」
リベルドの後ろから声をかけた人物
「君も来ていたのかサルミン」
サルミン・ラージ現カース評議会議長である。
「そろそろ次の評議選トーナメントだからな私も次の障壁となる選手を見定めておかなければならないからな君のオススメなんて聞いてみたいんだが?」
「そうか、なら先程の試合の選手はどうかな?」
「ジェイクに勝った彼か?んーすでにかなりの強さだが君に勝てる程かね?」
リベルドは微笑み告げる
「勝負はなにがあるかわからないさ、ただ彼なら私の退屈を少しは埋めてくれるのかもしれない」
「これはこれはなかなかスリリングな相手だところでリベルド明日も観るのかね?」
「流閣と同郷の選手が出るからね気にはなるさ」
「確か名前は鉄斎だったかな」
「ふむ」
そう言ってリベルドは考え込んだのだった。
その日の夜
「すまん!」
手を合わせ謝る流閣
「ついカッとなってしまってここ数日君らに嫌な思いをさせただろう?」
「まぁ俺はいいがニーカとレナはおかんむりじゃないの?」
レナは頷くもニーカは、
「えぇまぁ私は儲かったからいいですよ。でもこれから先流閣さんの実力がバレたので対戦者が減るでしょうね」
鉄斎が相槌を打つ
「まぁそうだろうなぁ」
ニーカは目を煌めかせながらのべる
「…、となると我がオオアザの国のもう1人の戦士に頑張っていただきたい!」
「へぇ〜もう1人のオオアザの国の戦士ねぇ、って俺か!」
鉄斎は驚きつつも
「明日の対戦カードも決まっておりまして軟獣人マニマニです」
「マニマニ?なにそれ?」
ニーカは説明を始める
「マニマニは魔獣の一種で人型ですが尋常じゃない関節の可動範囲と水の魔撃を得意とする種族
ですしかも身体能力もオーガの一段下くらいには高い!知能も高く絡め手を好んで使うといいますそして現在鉄斎さんのネール闘技場での立ち位置は新人ですオッズはかなり不利これを勝てばもう一儲け出来ます!!」
鉄斎は告げる
「馬鹿野郎!気功使用禁止の上で俺の技は柔に特化したやつだぞ相性悪すぎだろ!」
ニーカはにこやかに言う
「大丈夫ですこの度皇帝から遠距離の気功以外なら使っても良いとのことですそれにもともと鉄斎さん以外だと流閣さんぐらいしか視認出来ませんしね」
「出来ませんしね♪じゃねーよ」
唐突にレナが肩ポンポンしてきて
「どうしたレナ?ガッツポーズ作って『ファイト』ってやかましいわい」
―翌日―
実況「本日の第2試合対戦カードは魔獣マニマニ対鉄斎です。本日の解説もこの人ハーシーさんよろしくお願いします」
解説「よろしくお願いします」
実況「マニマニ対鉄斎この試合どう見られますか?」
解説「そうですねマニマニは関節の可動範囲が広くてサブミッションは殆ど効きませんそれに加えて水の魔撃水鞭は先述の腕の可動範囲と相まって異常な攻撃範囲と速度、破壊力を有しています。鉄斎選手はいかに懐に潜り込むかが第一の試練になりそうです。」
レフェリーが試合のコールを行う
「構えてぇえ試合開始!!」
試合開始直後に鉄斎は前へ回避する!
バァアアン!!
すると先程鉄斎のいた位置から破裂音が響く
水鞭とはよく言ったもんだ攻撃範囲は人間の範囲とは比べ物にならねぇそれに鎖鎌とかと違って手からの予備動作がねぇ分読み辛えことこの上ねぇ
実況「鉄斎選手、マニマニの周りを円を描くように回避して行くぅ」
解説「恐らくマニマニの攻撃範囲を探っているのでしょう」
リベルド視点
「マニマニの水鞭か…あれには私も手こずったものだ」
サルミンが頷く
「確かに君でもかなりの時間を使ったからなぁしかもあの坊やは組技系格闘技だろうこりゃなかなか時間が掛かりそうだ」
リベルドは苦笑いしながら答える。
「勝負は何が起こるかわからないものだ」
鉄斎視点
野郎エラく面倒なやり口じゃないの
ニヤニヤしくさりやがって…だがまぁ攻撃範囲はおおよそ掴めたが関節技が効かないとなると投げ技か絞め技、当身技かな?
マニマニが水鞭を振るう
鉄斎は即座に間合いを読み使う技は
気功操作×気功予見×螺掌流 基本歩法 摺足
『幽体捌き』
会場の全員が驚愕する。
「「「「すり抜けた!?!?」」」」
マニマニは怪訝な顔を覗かせる。
いいぞだんだんと掴めてきたこれなら使える。
右の水鞭を避け懐に潜り込む
顎を掌底で掴み身体を密着させ使う技は
螺掌流 気闘 柔ノ型 「兜落とし」
殺しちまったら会場の空気がだだ下がりだからな威力は弱めるぜ
ゴオン!
「そんだけダメージこさえりゃ頭ん中はぐちゃぐちゃだぁ!」
螺掌流 気療 柔ノ型 「気絶掌」
相手を気絶させる為の鉄斎のジョーク技である。
「気功と螺掌流融合技の称号機だからな結構自信あるんだよな」
マニマニその場で泡を吹き
レフェリーが試合を止める
「それまで!!」
王者リベルドの頰に汗が伝う
「信じられないあの魔獣を二手で仕留めるとはそれにあのすり抜けの技術底が知れないな」
サルミンかリベルドの顔色を伺う
「リベルド?」
リベルドが呟く
「ここ数年王者の椅子を守る為に試合を淡々とした作業の様にこなしていたが私を脅かす存在が現れるとは、昔に戻るのも悪くない」
サルミンに稲妻走る
始まるっこのネール闘技場史上最大のトーナメントが!!
リベルド・ナルチネス ネール闘技場絶対王者
ヒーポ ネール 闘技場屈指のインファイター
セイニヒ 魔闘士史上初の雷の魔術使いでカウンターアタッカー
原獣人 ギムル その昔絶滅されたとされる原獣人の生き残り長い冬眠期間を経て現世に現れる
ジェイク 万能魔闘士
流閣 オオアザの国から来た武人
鉄斎 同上




