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地球外侵略者の名は「神」

作者: シュウ@広島

ある日、突然の事だが友人の奥さんから手紙が届いた。

友人が亡くなったので、遺品を整理していたら私宛の手紙が出てきたと言うのだ。私は何事かと電話をかけたが生憎、何度かけても繋がらず、しまいにはこの番号は現在、使われておりませんとアナウンスが流れる始末だ。

私は仕方なく彼の残した最後の手紙を開封した。

以下がその内容である。


悠久の古の名残を残す存在は星の光が瞬く夜空に、その存在を感じる事が出来る。何万後年の遥彼方より地球に届いたその光は、今、この瞬間にも永き命を終わり、消えているかもしれない。

今のこの世界に於いて、そんな星空を眺めたり、浪漫を感じる人がどれ程いるだろうか?

ゆっくりと星空を眺めて古の人々の想像力の逞しさに身を焦がす時間など現代人には殆ど皆無である。その謎めいた星達の輝きと妙なる運行を古代人と同じように現代に生きる我々が見ている事は、奇跡といっても過言ではないだろう。かつて人々は妙なる星達の運行に未来を読み取ろうと腐心した。それは悲願にも似た自然の驚異からの逃れる術を知らなかった人々の妙なる願いであった。今でも世界中に残る星座に関する神話や伝説は一部の浪漫を大切にする人々によって語り継がれている。

古の人々の伝説によれば神は天から降臨した。光輝く翼を持ち、地上の悪魔達を一掃し、人々に自由をもたらした太古の記録は伝説と呼ぶのは簡単だが、なにかそれだけでは終わらすことの出来ない何かを含んでいると思われるのだ。

今の宗教の殆どが創造神によって光から宇宙は始まり、やがて「光」と「闇」の戦いに終止符が打たれ、地上は神と人間のものとなり、悪魔は氷の中に幽閉されたと記している。そして、やがて最後の審判の時を迎え、この世界には永遠の楽園が訪れるという。終末思想は現代の人間、とりわけ敬虔な者達にとっては永遠の課題であり、自分がその時に天国に行けるかどうかが善悪の判断をする際の基準になっていると言っても過言ではない。多くの人々は善悪の判断をする際に、この光と闇の思想を持ち出し、その子供達の幼少期より、まるで洗脳のように繰り返し繰り返し教え込む。それは絶対的な巌然たる事実として語られる。だから多くの敬虔な使徒達は、生きている間に善行を積もうと、ボランティアをしたり自分が信じる宗教に寄付をしたりする。

しかし、これに疑問を抱いたらどうなるのか?

神とはそれほどまでに完璧で完全なる存在なのだろうか?

或いは人間が思うような人間にそれほどまでに慈悲深く、愛情を注いでくれる存在なのだろうか?

本当に神は善なる存在なのだろうか?

私は古の伝説や神話を調べていた。それは最初は単なる考古学的な興味で、幼少の頃より親しんだ伝説や神話のルーツを辿り、世界中に散らばるその太古の人々の想像力の美しい宝石とも言える歴史に散りばめられた謎を体系化することにあった。

調べていくうちにバラバラだったはずの古代神話が少しずつ繋がり始めた。それは、世界中に散らばり年代も様々でありながら共通の特に宇宙の起源に関して、同じような記載があることがわかったからだ。それをここで細々と論じると長くなるので、簡単に説明するとインド神話、北欧神話、日本の古事記、中国の磐古神話などにその記述を見つけた。

内容は最初に一人の神が暗黒以外に何もない空間で寝ていた。

やがて、自分以外が存在しない事を知ったので自分以外の存在を作ろうとする意欲が湧いた。そしてまず三人の神を作った。そしてそれから色々な神々が誕生し、やがて世界を作り上げ、自分達の形に似せた男性を作った。その後で男性の体の一部から女性を作った。

大まかにするとこんな感じである。これが仮に単なる古代人の空想であると片付けるのを躊躇うのは私だけだろうか?

あの時代に何故に世界各地に同じような伝説が残っているのだろうか?

ある国にのみ残っているのならば、それはその国の宗教や慣習、風習、土着民族的な古の伝説と片付けてしまえるだろう。

しかし、古代に何故にインド神話や北欧神話、古事記や磐古神話に至るまで同じ記述なのか?人種も宗教も風習も慣習も違うはずてあるこれらの国々の人達になぜ、もっとも太古の世界で重要であったであろう宇宙の成り立ちが一緒なのだろうか?

私はあるときに、まるでジグソーパズルのバラバラだったピースが少しずつ、ある途方もない仮定を産み出すのを体験した。それは仮定と呼ぶには余りに大胆で傍若無人な振る舞いだった。

そうなのだ。太古の世界では神官達が絶大な権力をふるい、その力と影響力は王公貴族を凌ぐものであったとされるのは皆さんもよくご存じの事だろう。彼等にとって宇宙とは神との繋がりを指し示し、過去を表し、未来を予言する神聖な場所であったはずだ。それは現代人の中にいる頑なな宗教崇拝者のそれよりも、もっと遥に強固なものであったはずだ。しかし、ある時からその信仰の全てが覆る時が来るのだ。想像できるだろうか?昨日までの永年の先祖伝来の常識を全て捨て去り、新しい宇宙観念を受け入れた古代人の変わりように、私は疑問を感じざるを得ないのだ。

果たして、何が起こったのだろうか?

古代人の変わりように?

それまでの「世界の常識」を全て捨て去り、新しい神を受け入れた理由とは何か?

何故、私がこんな事を書くのかというとある時から新しい宗教が生まれたからだ。

その名は「ゾロアスター教」。

それまでの宗教とは一線を隠すものだ。

それまでの宗教の神々は信じられない力を行使するのだが、決して完全無欠の存在ではない。例えば日本では帝釈天の名前でお馴染みのインドラも完全無欠ではなく、何度となく自分より強い神に助けを求めている。時には人間の凄まじい修行の姿を見てやがて自分の存在を脅かすのではと、修行の邪魔をしたりしている。

ギリシャ、ローマの神話になるともっと信じられない。

全知全能の神であるゼウスが浮気をするのだ。しかし、問題はその後だ。妻のヘラは浮気をしたゼウスにではなく、浮気相手の人間の娘に復習するのだ。ある女性は永遠に蜂に追われることとなり、また、ある女性は子供を食べる怪物へと姿を変えられてしまう。とても現代の人間が信じる神の姿とは程遠い。なぜなら、完全無欠でもなく、その行いが必ずしも正しくもなく、倫理観に反する事を平気でやっている。ある意味で人間以上の力を行使する不完全な存在こそが神だった。

しかし、ゾロアスター教の神は違うのだ。

まず、宇宙に生まれたアフラ・マズダは自分以外の存在を暗闇の中に感じとる。それがアンリ・マユラだ。アフラ・マズダは光に属するものを取り、残りをアンリ・マユラがとった。

しかし、ふたりは和解することなく、やがて戦いは避けられないと感じたアフラ・マズダは戦いの場所として世界を創る。

そして二人の戦いは始まった。

アフラ・マズダは自分の善なる分身として、人間を作り上げ、アンリ・マユラは何とかして人間を自分の世界に引き込もうとしている。

以上が概略だが、ここで問題なのは新しい宗教が生まれた事ではない。

「何故に古代の人達はそれまでの教えを捨て去ったのか?」

の方が問題なのである。

新しい宗教はその時代にもあっただろうし、色々な解釈もあったはずだ。しかし、ゾロアスター教はある日を境に急激に広まった。それまでは背中に翼のある光輝く存在こそが神である、という概念はなかった。それが突然に空飛ぶ船に乗った背中に翼のある神々が人間を救うために地上の悪魔を一掃し始めるのだ。

一体、古代の世界に何が起こったのだろうか?

空飛ぶ船とは?何故に急に背中に翼のある存在が神となったのか?

そして、それ以降、古代の神話は悠久の彼方に忘れ去られ、いくら新しい宗教が生まれても、それはゾロアスター教の亜種にしか過ぎなくなった。どんな宗教が生まれようとも光と闇の戦いの図式は変わらず、今もそれは受け継がれている。

私はこの事実に気がついたときに戸惑った。なぜなら、ある仮説が頭の中に浮かんだからだ。それは、余りにも稚拙で現実ばなれしていた為に、自分の頭がそして精神が不健全な状態にあるのかと疑ったほどだ。しかし、考えれば考えるほど他の仮説では矛盾が生じてしまい、自らの考えを肯定するべきか否定するべきか悩んだ。それは今はなきアトランティスやムー、レムリア等の伝説の科学文明を何の証拠もなしにあったと決めつける夢想家達の愚かな行為に似て、なんの根拠も示せないままのうすら寒い空虚な空論に似ていた。

しかし、もし、古の伝説に何らかしらかの根拠があると仮定するならば、宇宙観念さえも変えてしまう程の驚くべき変化が世界にあったと思うのは私の頭がおかしいからなのか?精神を気づかないうちに病んでしまっているからなのか?

いや、ここまできたらもう後戻りは出来ないのだ。私の頭がおかしいと冷笑や失笑をかおうとも勇気を出して発表するしかないと考える。だから筆をとったのだ。

皆さんに頭のおかしい狂人、誇大妄想の変人と思われても構わない。それは充分に考えた。しかしながら、真実に目を背けるのは如何なものか?私はここにある仮説を立てる。読んでいて不愉快な人は引き返して欲しい。

私の仮説はこうだ。

本来地球は太古の昔より地球産の生き物を育んできた。しかしながら、ある時に宇宙からの侵略なのか、それとも別次元からの侵略なのかそれは断定できないが、地球に降り立った種族がいるのではないか?そして、長い時間をかけて地球を自分達が住みやすい環境に変えていったのではないか?

しかも、これは一度や二度ではなく、いくつかの時代に何回も行われたのではないか?と考えるに至った。

つまり、この地球に幾つもの文明が栄えては消えてゆき、その都度生き残ったもの達の子孫が一つのこの地球上に混ざりあってるのではないか?という事だ。

今まで生物は、ダーウィンの進化論を信じてきたがそれはまるで地球こそ宇宙の中心であり、空が動いているとした説が時代遅れの一説になったのと同じなのではないか。

ノアの方舟や大洪水の歴史は本当にこの地球の上で起こったものなのだろうか?

本当に人類は恐竜の時代にいた僅かな哺乳類の進化した形なのだろうか?

哺乳類、は虫類、昆虫、植物は本当にたった一つの細胞から進化して枝分かれした者なのだろうか?

もし、地球上に残る伝説が外的宇宙や異次元の宇宙からの民の持ち込んだ神話だとすると、本当の地球人とはどんな姿形、或いはどんな人種だったのだろうか?そもそも本当に地球人はこの地球に誕生したのか?

オーパーツや謎の壁画など古代に文明が会ったとする事を証明する物は沢山あるし、伝説も沢山ある。しかしながら、どこまでが本当にこの地球に起こったもので、どこからは古代人の空想と情熱が作り出した妄想なのだろうか?それを証明する手がかりはあるのだろうか?

もし、何度も地球が侵略を受けていて、そのたびにころころと文明が変わっていくのを茫然と見ていただけの種族だとするなら納得も出来る。

もし、仮に本当に人類が猿から進化したなら、それは本当に偶然だったのだろうか。彼等は猿を遺伝子操作して自分達の下僕を作り出したのではないのか?

或いは人間は猿から進化したのではなく、彼等の子孫なだけで本当は地球人何てものが存在しなかったとしたらどうだろうか。

仮に本当の地球人がいたとしても、文明の進んでいなかった彼等からすれば、外宇宙、別次元の宇宙からきた者達に抗う術などなく、ただただ彼等の力を恐れて下僕、或いは奴隷にでもなるしかなかったはずだ。そして、彼等の信じていた神は否定され、新しい神を受け入れるしかなかったのではないか?

今でも土着信仰の残る地域では信じられないようなものを神と崇め、様々な儀式が行われている。勿論、その中には科学文明のある我々からすれば、非科学的な呪いや、呪術など身の毛もよだつ儀式が行われている。だからといって彼等の信じている神が全く根拠がないという事は出来ない。いつかの時代に、この世界を支配していた神々かもしれないのだ。

色々な宗教に教化されずにきた文明は、歴史から葬り去られた神々の影響を色濃く残しながら、細々と生きてきたのだ。

誰が彼等を笑うことが出来ようか。私達が知らない世代の神々を彼等が知っているだけなのかもしれないのだ。非科学的と一方的に決めつけるのは早計というものだろう。ただ、神々が降臨していた時代が違うだけで、その神はかつて君臨していたかもしれないのだ。

神が人間にやたらと都合が良くなったのは、後の人間が勝手な解釈を加えて教えを書き換えたからだ。宗派に都合よく、宗教家に都合よく。本当に神は今の時代に伝えられているように人間に都合がいいものなのか疑問を感じざるを得ないのだ。

もしかしたら、人間を食料にしていたかもしれないし、奴隷として労働力にしていたかもしれない。

なにかしら彼等が衰えたのは驚くべき環境の変化か、戦争などによるものだろう。そして、今なお影響力のある宗教もある。

しかし、古代人の知恵は必ず隠していてもどこかから漏れだし、世の中を騒がせるが、最後は非科学的だと決めつけられ抹殺される。本当に非科学的なのだろうか?

ある秘密結社などが一部の知識を独占し、秘密を漏らした者を処分している、というのは有名な話だ。

「ネクロノミコン」などがいい例だろう。何度となく刊行されては消えていく。禁書になったり、非科学的だときめつけられ発行禁止になったりする。何の根拠も示せないものが時代を越えて生き残るものだろうか?

死者は蘇らないのが今の私達の常識だ。

しかし、古代人の言い伝えによれば死者の魂を呼び出す事は可能で、ある種族には死者の魂を瓶に閉じ込める秘技が存在する。

その種族達は驚くほど昔の出来事に精通しているという。

或いは今でも暗黒の古代神を崇める部族が存在する。彼等に逆らうと呪い殺されるとして、今でも忌避されている。

再度、問う。

「神」とは何か?

それは封印されし古代の記憶の彼方に忘れ去られたかつて存在したものであると。それは一度や二度ではなく何度も地上や空を、そして地球上を支配した者達が人類に残した記憶である。

決して伝説の存在ではなく、実際にある時間、存在した者なのである。

長い年月に神は人間の想像の産物であり、実際には存在しないとされてきた。いや、そうしたほうが都合のいいもの達がそう作り替えたのだ。愚かな人間が過去と同じ失敗を繰り返さないために。

何度も起こっては消えていった文明を真に完成へと導くために秘匿したのだ。

我々は完成させなければならない。

真の世界を!

そして新しい次元へと進化するのだ。


以上が私が秘密結社で目にした秘技を記した本の内容である。

もう、私が本を盗み見したことはばれているだろう。

私の命も長くないものと考える。

最近になって、黒い影が私の側まで迫りつつあるのを感じる。

それは確実に私に迫りつつある。

もう一刻の猶予もない。生きているうちにこの手紙が無事に貴兄のもとに届く事を心から願っている。そして、目を通したなら灰になるまで焼いて人目につかないようにすることをお勧めする。

何故ならば貴兄にも災いが及ぶからだ。彼等の力を侮ってはいけない。彼等には時間や空間、距離などは何の妨げにもならない。

貴殿の命を奪うことなど、たやすいものと考える。

願わくば貴殿がこの内容に対して理解を示してくれる事を切に願うものである。


以上が彼が残した遺言である。

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