神の祝福
死者の復活。禁忌の研究とされるそれに、自分は一生を費やした。
控えめに笑う彼女はどこまでも儚げで、誰にでも優しい彼女はどこまでも美しかった。
僕が思いを告げたときのあの顔を、共に過ごしたあのかけがえのない時間を、僕は一生忘れられなかった。今だって、まるで昨日のことのように思い出せる。
彼女に会ったのは、一体何年ぶりだっただろうか。
「久しぶりだね」
視界を埋めるのはどこまでも続く青い空と絵の具のように白い雲。
そして、荒野に彼女は立っていた。
ずっと会いたいと思っていた。ずっとずっと、何年も、何十年も。
夢でもいい、幻影でもいい、僕は君に、もう一度会いたかった。
研究は成功した。僕は、彼女に会うための薬を手に入れた。
例え二度と目覚めることが出来なくなったとしても、迷わない。僕はそれを飲んだ。
声をかけられて、彼女は信じられない、という顔をしている。
そして、彼女は笑ってこう言った。
「―――――また、会えたね」
それは、神の祝福。