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ぼくとあたしの|恋物語《ラブストーリーズ》

愛してる、愛してた

作者: 濱澤更紗

 あたしはそっと席を立つ。

 あなたは何も言わない。

 もう、お互いわかっているから。

 元通りにならないってことくらい。


 あなたと出会ったとき、これ以上の人はいないと思っていた。

 とても優しくて、とても暖かくて。

 あなたも、あたしのことすっごく愛してくれた。

 愛し合いされていたことは、いつもいつも感じていた。


 何かあったわけじゃない。

 喧嘩したわけでもない。

 ただ。


 あたしの中で、何かが壊れてしまったの。


 あなたを嫌いになったわけじゃない。

 他の人を好きになったわけじゃない。

 今でも聞かれたらいえるよ。

 「あなたのこと、世界で一番好き」


 ただ。

 あたしの中で何かが壊れてしまっただけ。

 ただ。

 あなたの愛情を受け入れる自信がなくなっただけ。


 ごめんね。

 本当にごめんね……。


 あなたのこと。

 今でも愛してる。

 いや、そんなこという資格はない。

 愛していた。


 過去形。


 あたしは後ろを見ないで歩き出す。

 あなたから逃げるように。


 そのとき。


 懐かしいぬくもり。

 懐かしいにおい。

 ぎゅっと包まれて、あたしは動けなくなった。


 風が何か言った。

 その言葉に、あたしは涙が一つ零れ落ちた。

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