6話居候
「はい、どうぞ」
「あ、すいませんありがとうございます…てっ違います!!」
ドンッ!と机を叩いたサクラ
あの後、村の人に感謝された。どうやら賢者を指名手配しているが顔がまだ知られていないらしい。
村の建て直しを手伝って自分の家に戻ったが、サクラがついてきたのだ。 だから紅茶を出してやっている。
「あなた指名手配犯なんですよね!?」
ああ、その話か
「俺は賢者であって指名手配犯でない」
「はあ?」
「だから賢者だって」
「指名手配されている賢者でしょ!?」
「指名手配されていない賢者だって」
「話ても埒が明きません!!自首しに行きましょう!」
はあ、埒が明かないな
「自首してどうする?」
「だから謝りに行きましょう!!」
「誰に?」
「困らせた人に」
「悪さしてないのにか?」
「でも指名手配されてますよね?」
「されているが悪い事は何もしていない」
「嘘をつかないでください!!」
「嘘じゃない」
「じゃあ証明してくださいよ!!」
面倒だな
「はあ、じゃあ俺が村に来たのは?」
「2年前ですよね?」
「その2年の間に何か悪い事があったか?」
「いえ、平和でしたね?」
「じゃあなぜ平和だった?いつでも村を滅ぼせたのに」
「それは…でも今日オークが襲って来たじゃないですか!!」
「俺じゃあないが、オーク達を倒したのは意味は?」
「い、意味は…そうです!村の英雄になろうとしたとか?」
「わざわざ悪名が高くなっている賢者の名を明かしてか?」
「うっ、それは」
よし、勝った
「じゃあ話は終わりだ、帰りな?」
「…か、帰るところが…」
ボソボソと話す。
「え?なんだ?」
聞こえない振りをした。
「帰るところがないんですー!!」
「そうかい、じゃあ野宿しな」
サクラを外に押し出した。
「まっ、待って!助けてください!!何でもします!」
はあ、なんだこいつ
「俺を指名手配犯扱いした後助けて欲しいって?図々しいにも程があるぞ」
「そっ、それは…ごめんなさい」
「で、なんだ助けてほしいことは?」
「だから、帰るところがないので泊めてください!!」
次から次へと全く
「家族は?」
「いません、皆亡くなりました」
「…そうか、聞いて悪かった。入れ」
ぱあっと明るい顔になった。
「ありがとうございます‼」
「まあ、元は早く助けに行けなかった俺が悪いからな」
おずおずとサクラが家に入った
俺は洗い物をしながら話した
「いえ、賢者様は皆を助けてくれました」
「なんだその賢者様って?」
「え?賢者様ですよね?」
「賢者だが」
「じゃあ賢者様で!」
「せめて名前で呼んでくれ」
「名前知りません!」
「あれ、言ってなかったか?じゃあ改めて」
イスに座ってサクラと真っ正面になり自己紹介した。
「俺は賢者カリネだ、よろしく」
「はい!よろしくお願いします」
こうして、居候のサクラが仲間になった。
「所でサクラ」
「はい、なんですか?」
「明日から遠くの町に出掛けるぞ」
「はい!、…え?、えぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
部屋中にサクラの声が響いた。