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第一話

ノクターンより、ほぼそのまま転載。

 遭難しました。そうなんですか?とか言われたら殺したくなる。そうなんですって、冷静に返せるわけない。で、遭難しました。そうなんです。遭難したんです。さっきまで学校にいたはずなんだけどね!しかも、見たことのない植物とかがいっぱいあるよ!見た事も無い綺麗な鳥が飛んでいる!




 遭難した時は川に沿って下っていくと人里に出れるらしい。そもそも、人いるよね?今のところ道に出会ってないんだけど、大丈夫だよね?




 つーきーがーでったでーたー。つきーがーでたー。よいよい。っと。中秋の名月ってやつかな?普段見る月より2倍は凄い。なんたって、2つも出ているからね。どう考えてもここって地球じゃないね。本当に人が居なかったらどうしよ?本当に何も持ってないからサバイバルなんて無理だよ。間違えた。キャンプ道具持ってても無理だよ。だって僕、現代っ子だもん!サバイバル能力なんて皆無のもやしっ子さ!




 おはよう。エンジェル。ええ。朝起きたら、目の前に結構な美人さんがいたのですよ。金髪碧眼北欧系美少女が。実に可愛らしいが、そのほっそりと括れた腰には剣ではなく鉈が、白くすらりと長い手には弓が握られている。…………とりあえずほっぺたをつつくのはやめてほしい。

 「えっと……………こんなところで寝ていると危ないですよ?」

 てっきり外国語で話しかけられるかと思ったら日本語でした。言葉が通じるなら未来は少しだけ明るいね。

 「僕の故郷ではほっぺたをつつかれたら、つつき返さなければなりません。さぁ、つつかせてください。さぁ!」

 当然嘘だ!嘘でも、真面目な顔をして言えば多少は信じてもらえるかもしれない。やっぱり、言葉が通じるって素晴らしい。

 「え…………えと。はい。」

 そして、彼女は信じてくれた。この馬鹿なウソを。当然、その可愛らしいほっぺたをプニプニと堪能させていただきました。実にいいプニプニ具合だったよ!



 「それでお兄さんはこんな森の中で何をしているんですか?というか荷物とかは?」

 散々ほっぺたを弄ばれ、真っ赤になった彼女が聞いてくる。なお、僕は君にお兄さんと呼ばれるような年ではない。まだピチピチの17歳。花の高校2年生だ。なお、彼女の年はよくわからない。同じ日本人でさえよくわからないのに、北欧系の白人の年なんてわかる訳ない。

 「なにって…………遭難?」

 「そうなんですか。でも、この森そんなに広くないですよ?まっすぐ歩いたら1日で横断出来ちゃうくらいです。」

 「遭難ですよ。……………森で迷っちゃったっていうより、余所の世界に迷い込んだ感じかな?ちょっとこれ帰れそうな気がしないんですけど。あははは……………どうしよ。」

 異世界漂流で、技術チートだなんてできる訳ない。こっちはただのお気楽高校生だ。中二病を患っていた頃に覚えた知識でチートだなんて無謀すぎる。

 「それは大変ですね。それじゃ。」

 そういうとしゃがんでいた彼女はゆっくりと立ち上がると、これまたゆっくりと傍らに置いていた大きなかごを背負い、猛然と走り出した。え?助けてくれないの?

 



 結果からいうと、彼女を捕獲するのは簡単だった。当然だ。道の無い山を大きなかごを背負って走ろうとするのだから、引っかかりまくる。

 「よっと。」

 「キャッ!」

 優しくタックルして押し倒す。現役ラグビー部補欠を舐めるな。ド素人位簡単に倒せる。

 「何でそんなに逃げるんだよ。」

 「だ、誰だって異世界から来たなんて言う変なのにかかわりたくないでしょ!」

 確かにそうだ。もしそんな奴がいたら警察を呼びたくなる。もしくは、黄色い救急車だ。

 「…………………」




 交渉の結果、町までは連れて行ってもらえるようになった。入口で門番に引き渡して終了になった。そこから先はどうなるかは知らないと、はっきり言われてしまったよ。対価はライターだ。やれやれと思って煙草をくわえ、火を付けていると食いついてきた。見たことが無いそうだ。普段火を着けるには火打石を使っているそうだ。

 「ねぇ、シア。町に着いたらお金貸して。」

 交渉前に名前だけ教えてもらった。シアだそうだ。年齢は教えてもらえなかった。そして現在僕は無一文。町についてもお金が無ければご飯が食べられません。体が飯を寄越せと喚いているんです。嘘泣きしながら語るが無駄だった。俺の涙を返せ!

 「嫌よ。帰ってきそうにないし。でも、領主様の館まで連れて行ってあげるわ。領主様は面白い話が好きならしいから、食客にしてもらえるかもね。」

 




 町の門が見えてきたが町に入るには税が必要らしい。…………だから僕は無一文なんですけど?

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