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夜と、巡る冬  作者: 罰歌
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冬眠の子供たち



 私が一番苦労するのは、子供たちを寝かしつける時である。

 子供というのは非常に元気で、好奇心旺盛で、なによりおとなしく眠るということをしない。

 保母という職業を始めて数年たった今では、食事や遊びの相手をすることや、泣いている子をあやすことも得意になっていた。それなのに、やはり寝かしつける事だけは出来ないのだ、


 カーテンは閉めて真っ暗にしてある。それでも眠らないのは、まだ日がある事を感じるのだろうか。一向に落ち付かない私の担当するクラスの子供たちを眺めながら思った。

 時計の針はまだ12時半を指していた。ついさっき、ちょうど15分に始まったばかりだというのに、眠っていたと思われる子も何人か起き始めてしまったようだ。他のクラスの子供たちは大人しく寝息を立てているというのに。 何故、私のクラスの子供たちだけはこんなに睡眠を拒むのだろうか。

 絵本を読んで、なんて要求する子供たちに、


「このお話が終わったら、きちんと寝るのよ」


 なんて言うのも、もはや決まり文句になりつつある。幸い、絵本の種類だけは豊富なのだ。だから子どもたちが飽きることなんてそうそうない。

 子供たちは話の世界にいつの間にかのめり込み、そして気がつかないうちに夢の世界へと足を踏み入れていく。そう、そこまで案内することが非常に大変なのだ。


「……でした。おしまい」


 なんて言って、ぱたりと絵本を閉じると、さっきまではしゃいでいた子供たちは、全て布団の上に転がっていた。その寝顔は皆とても穏やかで、幸福そうな顔で会った。子供たちの柔らかくて、すべすべした肌が私はとても好きだった。

 そっと撫でる。子供たちの産毛がほんの少し差し込む光の加減によって、まるで頬に霜が降りたようになっていた。一瞬、冷たくないかしらなんて考えて触ってみたが、やはり霜なんかではなかった。

 それなのに、その光景は子供たちが冬眠しているかのようだった。


 私はそっと、光を少し漏らしていたカーテンの隙間を閉めて、そっと部屋を抜け出した。

 お昼寝の時間が終わるまでの間、私は冬眠する子供たちをそっと思い浮かべていた。


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