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夜と、巡る冬  作者: 罰歌
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まぶたの夜


 まぶたを閉じた時、私の頭の中で、暗闇が辺りを覆う。いつも、はっと気付いた時には包まれていた。

 けれど、それは決して不快なものではなかった。むしろ、母親の胎内にいた時に得た安心感にもよく似たものを感じていた。


 まぶたを閉じる時、それはつまり夜寝る時だ。

 私は、あまり昼寝というものをした事が無かった。記憶にある限りでは、居眠りもした事が無かった。だから、いつもその暗闇に出会うのは、深い眠りの谷を覗く時の一瞬だけだったのだ。

 いつも、時計の針が十二時を指した頃、その日一日を清算するかのように布団に体を滑り込ませる。それが、習慣になっていた。


 今日もそうだった。

 いつも通り、布団に体を挟み込んで、まぶたを閉じる。その時だった。

 とても奇妙なことが起こった。それは、いつも覗く深い眠りの谷がその日は無かったのだ。私は焦りを覚えた。その谷を見なければ、あの暗闇は訪れないと思ったからだ。

 手のひらが滲むのがわかる。

 その時だった。普段ならば、真っ暗で何も見えない筈のまぶたの裏に、何か光るものが見えた気がした。


 今日は、日中プラネタリウムを思う存分堪能したからだろうか。


 まぶたの闇の中で見つけた光が、次第に数を増やし、形を成し、見る見るうちに満天の星空へと変わっていったのだ。思わず、私は息をひそめた。その輝きは、今まで見たことも無いような美しい光景だった。どこか湿った香りがした。

 私は、深く息を吸い込んだ。まぶたの裏の星々が、ひとつふたつと、流れ星となって落ちていった。まぶたの裏がちくりと痛んだ。

 ポロリと涙がこぼれたのがわかった。

 まぶたに、夜が訪れたのだった。



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