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純白

逃亡後のお話

───待ちに待った、結婚式。

ティアドロップブーケに、繊細なヴェール、それに純白のウェディングドレス。

幸せな、幸せな花嫁に。

望んで、望まれて……………ハーフェン王国一幸せな花嫁に、わたしはなるの!


**********


爽やかな夏の気配が色濃く感じられるようになり、わたしが逃亡してから一月がたちました。

あれからは、とてもたいへんでしたよ!ハイ。

デリックお兄様には疲れた顔をされましたし、ルーファス様には、自宅謹慎が申し付けられました。

さながらプチ犯罪者の気分ですッ!!


し か し

それも今日で終わりです。


─────わたしは今日、結婚しますっ!!


十六歳の時に婚約してから三年。誤解もとけ、 ルーファス様との仲もより深まり、色々ありましたがわたしは幸せです!!ハイ。

今ならきっとハーフェン王国一幸せだと叫べる気もします、全力で止められましたけれど………。

ふっふっふ!マリッジブルー?なにそれ美味しいの?なテンションでこの一月を過ごしましたともっ!

ちなみに今は、教会の待合室にいます。


ふんわりと初々しさを強調するプリンセスラインの可愛らしいドレスに、(くだん)のメリル様からお詫びにと貰ったダイアモンドとサファイアのはまったティアラ。お母様も使ったという、一針一針丁寧に縫われ、薔薇の刺繍の施されたヴェール。

靴や手袋はドレスに合わせて作られたもので、お義母様(かあさま)から借りた真珠のネックレスもつけ、 化粧もされ、準備万端です。

ブーケも持ちました!


ふむ、馬子にも衣装ですね。

というか、コレを造り上げた侍女の皆さんの熱意に脱帽です。

藍色がかった黒髪は丁寧に結い上げられ、アイスブルーの瞳とティアラに合わせた小さな髪飾りが光っています。

すごいです、別人ですよ。


「ファティマ様、普段も充分お綺麗ですが今日は一段とお美しいですわ!ルーファス様も惚れ直すこと間違いなし!!うふふ、反応が楽しみですわぁー!!」


側に控えているオールディス侯爵家付侍女の一人であるライラが、楽しそうに笑います。

ライラは口がお上手ですね。お世辞でも、うれしいです。


「ありがとうございます!ライラ」

「またファティマ様は!使用人には敬語でなくていいんですよ?」

「癖なので、無理です」


ちょっとした雑談に付き合ってもくれました。

実は緊張していたんですよね………お母様の暗器を触れたとき以来の緊張です。

アレもドキドキでしたけど、今日のドキドキはやはり一味違いますね!!


「あ、ファティマ様、そろそろですよ」


きぃっと教会の樫の扉が開き、愛しいルーファス様─────ではなく、お父様が現れます。


「おめでとう、ファティマ。ふ、嬉しいよあの男より先に、ファティマの晴れ姿が見れて」

「ありがとうございます、お父様。あの男とは何ですか、お父様。ちゃんと呼ばないと、式場から蹴りだしますよ。別にいいのですよ、お兄様が花嫁の父親役をしても………」

「ひどいっ!」

「冗談です、大好きですよお父様!」

「ルーファス君よりも?」

「それとコレとは話が別ですね!」


軽い冗談を言いながら、差し出された手を取ります。

正装姿(つまり軍服ですね!軍の元帥ですから、お父様は)のお父様にひかれ、大聖堂へと向かいます。


「寂しいなぁ、ファティマが結婚なんて。小さい頃からファティマはお父様と結婚する!なんて言ってくれなかったけど。いっつもセバスティアンか、ルーファス君だったからね……」

「え、セバスティアン!?覚えてませんよ、そんなこと!!わぉ、わたしはセバスティアンと結婚する!なんて言ったんですか?!」


何ですか、ソレ!?聞いてませんよ。しかし!わたしの趣味は以外とよかったのですね?

今は殺しちゃいたいくらい、ルーファス様が好きですが。


「そうなんだよね、ファティマは。お父様、泣いたもん。ソレ聞いたとき」

「……………………女々しいですよ、四十にもなって」


そう言いながらも歩いていると、大きな扉の前に来ました。


──────さぁ、はじまります。


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