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あかきキジンの章6

伝説中

一昔、と言ってもすでにかなり昔に来ているのだが。ええっと、この村にとっての一昔ということで。この村には、キジンと呼ばれる神々がいるらしい。祈神・・・奇神・・・そして鬼神。この3人の神々が村の神社に祭られているらしい。何とも胡散臭い話だが。一つの神、祈神は燃え盛る山火事から聖なる光とともに現れ、この村を守ってくれたらしい。いかにも嘘くさいが。二つの神、奇神は日照り続きだった時にこの村に雨風を吹かせ、村に危機を救ってくれたらしい。これまた嘘癖ー。偶然だろ。とてつもなく偶然だろ。最後の神、鬼神だけど、野党にこの村が襲われたときに、って・・・なんだかやたらいろいろある村だな。まあ話を戻して。この村が野党に襲われたときに、当たり前だが、村の若者が抵抗した。けどその抵抗もむなしく、その若者は一瞬のうちに殺されてしまい、ほかの村人たちもそれに恐れ、誰もが村と自分たちの終わりを感じてしまった。絶望が村を襲った時に、鬼神が舞い降りたらしい。初めに殺された若者がおもむろに立ち上がったという。その面には鬼が宿っていた。らしい。鬼の面になったかどうかは不明だが、その若者が野党を皆殺しにし、その後、村の英雄になったらしい。しかもまだその英雄となった若者は生きているらしい。

俺たちはその、今はもう老人となった英雄に会って話を聞くことにした。宇宙人は?と聞くと、キッピー曰く、デスはいつでも殺せるからいいらしい。それに、俺の力を取り戻すことも重要だとも、キッピーが言っていた。すべては偶然。だけど、それを必然と思えたときに、何かそこに価値があるのかもしれない。

「俺とあかきが出会ったのも偶然だし、この時代に来たことも偶然。何かに引き寄せられて、ここに俺たちはいる」んだと。

村の端にある、そこそこ大きい家の中に、その英雄はいた。初め、現代の格好をしている俺たちは村人から禍の目で見られた。無理もない。だが、適当に話しかけてみると、意外と警戒されることなく話を聞いてくれた。それもそのキジンと呼ばれる神々のおかげで、キジンが俺たちを悪ではないと判断してくれたようだ。ありがたい話だ。

英雄はさすがに肝が据わっているようで、俺らを見ても何も変化すらなかった。そりゃそうだ。キジンと話ができるのはこの英雄なのだから。村人たちに俺たちが安全だと言ってくれたのはこの英雄なのだ。

見た目は7~80歳だが齢105歳。英雄が強い口調で話してくれた。この村にはまだ、その禍は訪れていないが、直に訪れるという。宇宙人には待っていれば会えるそうだ。キッピーの瞳がいびつにギラついた。齢105歳の英雄はキッピーを見て、食いしん坊だなと言っていた。キッピーは「ふふ」と静かに笑う。そして、俺を見てこう言った。

「お前からは不思議な感じがする」

まだまだ生きそうな、そんな眼を光らせる。力がみなぎっている。俺にもその力が流れ込んでくるようだ。生命力がこの英雄の体だけでは収まりきらないと言わんばかりに。不思議と、この時代に来てからずっと続いていた倦怠感が今はない。いや、感じられないだけなのかもしれないが。

「キジン・・・俺にもあなたみたいにその力が宿ると思いますか?」

英雄はかぶりを振った。わからない。分かるわけがない。相手は神だ。神とは会話できないよ。と英雄はわらった。さっきキジンが俺たちを邪悪ではないと判断したと言っていたけどな。


読んでくれたらありがとう。次もよろしく!

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