デスの章7
真相
そんな中、突然、総長のもとに一つ報告が入る。
「総長。ここの近くにまた、新たな痕跡が見つかりましたがどうなさいますかーーー?」
男が消え、すぐさま現れたのはミステリーサークル。なんか出来すぎている。胡散臭いにおいがプンプンしてくる。でも、確かめずにはいられない。なぜなら、例え、胡散臭くとも、仮に先ほどの男の仕業だろうとも、それは大した問題じゃない。ワレワレは人間に負けない。まあ、戦うこともないだろうし、あの男にそんなことをする理由が分からない。万が一の危険もないだろう。仲間か・・・もしくはまた人間のくだらないいたずらってやつだろう。でも、なぜかもう一つの可能性が頭によぎった。やはりさっきの男だ。馬鹿らしい。そんなはずはない。と思いながらもその可能性のような気がしてならない。
「近くってどこだ?」
尋ねると、本当に近くだった。この船の真下。もはやどうするもこうするもない。確かめるほかないだろう。船の高度を下げ、近づくと、そのミステリーサークルは文字になっていた。目を細め、その文字を読んでみる。なんて書いてある?つい、言葉に出して読んでしまっていた。
「俺の名前はしんごだ・・・て書いてあるな。どういう意味だ?」
「俺の名前はしんご・・・てことではないのでしょうか?」
「それはわかっている。なぜ、そんなことを書いたんだ?まるで、これじゃあワレワレに読んでくださいと言わんばかりじゃないか?」
「え・・・ええ。そのように思えますね。でも、ワレワレの仲間とは思えませんが。どう思います?」
総長は、瞬時にあの男だ。と思っていたが、それは口をつぐんだ。どう考えても有り得ないからだ。もう一度、その文字のミステリーサークルに目をやると、先端に人影が3つ、あることに気が付いた。そのうちの一人が、腕を大きく突出し、親指を突き立って『グッッッ!!!!』とポーズを決めていた。間違いなかった。あの男だ。間違いなく、この男の名はしんごだ。この3人、全員が全員季節感のないバラッバラの格好をしている。一人はゲームやアニメに出てきそうな格好をした蒼白色の服を着た男、一人はすかしたジャケットにすっとしたパンツ。そのパンツもすかしている。最後にしんごだが、ジャンバーを着ている。寒いのか?今は特に冬というわけではない。春の始まり、3月の終わりだ。そんなことはどうでもいいが。
「総長。どうしますか?」
総長は一旦考えた。今、殺すのは簡単だ。簡単だが・・・。
「招き入れてやれ。話がしたいみたいだ」
「そうですか?友好的には見えませんが。どちらかというと、敵意を感じますが・・・それでもよろしいでしょうか?」
総長はもう黙ってうなずくだけで、何も言わなかったが、すでにしんごじゃない他の2人の姿が消えていたのには驚いた。まさか!?もうこの船の中に入っているのか?
「どうやら、土足で上がりこんできたようだな」
さっきしんごがいた場所を見るとそこの床は泥まみれだった。
「痕跡を作った後で、靴ぐらい洗えよ」
もう一人のデスが言った。全くその通りだ。どうでもいいが、汚れるだろ。あの2人もそうなのだろうか?そう思うと疲れる。掃除が大変だ。
「そういえば、この星、地球に来てから掃除なんて一度もしていませんでしたね。いい機会なんじゃないですか?」
そうだな。て、それどころじゃないっての。
2人の侵入にはすでに気が付いていたが、泳がせてみることにした。どうせここまで来るのだから、気長に待とう。
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