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デスの章6

突っ込めよ!!

「ワレワレは・・・この星で言うところのベジタリアンなんだ」

「へ?」

聞き返してきたのでもう一度言ってみた。

「ワレワレはベジタリアンなんだ。だから、この星のもの、特に人間、人類はこの星で一番の雑食だから。見ている。それに、コミュニケーションも取るのが簡単そうだった。だから、今回何人かの人類をさらって・・・ここに招待することのしたんだ」

「な・・・なんだそりゃ?じゃ・・・じゃあ、俺のほかにもここに来たやつがいるっていうのかよ?そいつらは・・・どうしたんだ?」

面白いので、ここも正直に言ってみた。

「帰した」

「か・・・帰しただと?そりゃ、本当なのかよ?」

正直に言っている。なのにいちいちこの男は大袈裟に騒ぎ立てるなあ。なにかワレワレ、おかしなことを言っているか?初めから正直に話をしているだけなのだが。正直に話さなければ、相手の本音も分からないから。本当にこの男はおかしい。不自然すぎる。話せば話すほどに、際立つ。

「帰した。ただ、記憶は消させてもらいましたが」

「そ・・・そうか。そんなこともできるのか。でも、そのほうがいいよな。・・・じゃ、じゃあ俺の記憶も消すのか?」

「帰すときはそうする。でも、まだ帰す気はない。もっといろいろ話を聞きたいから。そういえば、名前は教えてもらえるか?」

「それは・・・どうでもいい」

教えてくれないらしい。さほど興味もなかった。

「そう」

変な空気になってしまったが、気にしない。名前も分からない男も気にせずに続ける。

「ほかには、何してるんだ?それだけなんて信じられない。実際、いま招待はされているが」

男は、探るような目で、ワレワレを見始めている。この星の生き物にしては、どうやら毛色が違って見える。ワレワレは完全にこの男に興味を持ってしまっていた。この男がいれば、ワレワレの人類の知識は格段に上がる気がする。間違いなく上がる。

「遺伝子操作とかもできるのか?」

男が次に聞いてきたことはこれだ。本当にいいとこをついてくる。詳しすぎると思えるほど。でも正直に答えてみた。

「できる。現に地上に放していたが、今はもうしていない。予想外のことが起こってしまったからな。ただ、お前の心配している人間の遺伝子操作は、まだ、ワレワレは行ってはいない。ワレワレはな。もしかしたら、しているやつらもいるのかもしれないが、残念ながらワレワレにはわからないことだ」

男に、一目でわかるほどの安堵な色が見えた。本当に面白い男だな。

「その、生き物を使って何をたくらんでいるんだ、お前らは?」

「特に何も。ただ、色々な生物をかけ合わせたらどうなるのか?とか。その場合、どの生物の特徴が如実に出るのか?表に出るものは一番強い。ほかには、ただ単に一つの生物を巨大化させてみたり。そしたら、どんな性格の生き物になるのか?何を欲するのか?ただそれらが知りたいだけ。ワレワレは本当に暇なのだ」

ついでにワレワレがこの星に来ざるを得なかった理由も話した。男はやはり驚いた。でも、どことなく納得した様子だ。それでも10000年以上戦ってきたことや、タイムマシーンのことなどは話していない。言っても理解さえないだろうし、でも記憶は消すから話してもよかったが。

小1時間ほど話すと突然、男がスウーと立ち上がった。あまりにも当然のように立ち上がるのでワレワレは呆気にとられて反応が遅れた。男は一言「お前らと話せてよかった。じゃあ、また会おう」と言うと、いきなし光を放ち、「待て」という間もなく、消えた。あまりにも突然。でも、消えたことに驚くよりも、この男がワレワレのことを知っていたことと、さらにはワレワレの装置も持っていたことに驚いた。

「あの、最後に質問した男は、一体何者だったのでしょうか?」

総長は腕を組み、訳がわからないといった面持ちで答えた。

「訳が分からない」

それは知ってる。みんながそう言おうとしてやめた。


読んでくれてありがとう。次もよろしく!!

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